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サステイナビリティーと綿紡績/改めて綿の魅力を/トレーサビリティーもポイントに

2021年02月08日(Mon曜日) 午後1時1分

 世界的にサステイナビリティーへの要求が高まり、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが重要になる中、綿紡績各社とも改めて綿素材の魅力を前面に打ち出している。そのためには生分解性など素材特性を訴求することに加えてトレーサビリティーや定量的評価システムも大きなポイントになってきた。(宇治光洋)

 綿素材は天然の農作物である綿花を原料とするため、栽培・加工段階で投入されるエネルギーを別にすると原則としてカーボンニュートラルな原料となる。生分解性もあるため廃棄後の環境負荷も小さい。サステイナブル素材として改めて訴求する動きが日本の綿紡績各社でも強まる。

 東洋紡STCは現在、綿が栽培段階で自然環境保全に貢献していることや、有機栽培、フェアトレード、生分解性などさまざまな切り口でサステイナビリティーに貢献できる素材であることを紹介することで需要の掘り起こしを進めている。

 シキボウや大和紡績も全米綿花評議会(NCC)の輸出促進機関である国際綿花評議会(CCI)の「コットンUSA」認証を活用した商品開発・提案を拡充してきた。CCIが科学的精密農業によって栽培される米綿を「もっともサステイナブルな繊維である」として世界的にプロモーションしていることも追い風だろう。

 一方、綿の魅力を発信するためには、これまで以上にトレーサビリティーが重要との見方も強い。きっかけとなったのが昨年にインドで発覚したオーガニックコットンの不正認証問題。トレーサビリティーを確立した“信頼できるサプライヤー”から調達することがコンプライアンス上、不可欠との認識が広がった。

 こうした動きは日本の綿紡績各社にとって追い風となる可能性がある。クラボウグループの大正紡績(大阪府阪南市)はオーガニック綿糸を得意とするが、長年にわたって米国などの契約農家から原綿を調達してきた実績を改めて打ち出す。東洋紡STCも長年にわたってインドの大手紡績、バルドマンと連携してオーガニックコットンを調達してきたことを打ち出し“信頼できるサプライヤー”であることを明確にする。

 サステイナビリティーに対する定量的な評価システムも“信頼性”に欠かせない。その一つがNCCを中心に米綿業界が導入を進めている米綿のサステイナビリティー検証システム「USコットン・トラスト・プロトコル」。参加する綿花農家は栽培時の土地利用、土壌炭素、水管理、土壌侵食、温室効果ガス排出、エネルギー効率などをシステムの基準を基に評価し、プラットフォームを通じてアパレルや小売業者などサプライチェーンの参加者に共有される。

 既に海外では紡織企業100社以上が参加しており、アパレル・小売りも欧米や中国、韓国などから多数の企業が参加し、2020年12月にはギャップも加盟した。日本からも日清紡テキスタイル、シキボウ(新内外綿など繊維事業子会社を含む)、大和紡績がこのほど加盟した。

 こうした評価システムは今後、グローバルSPAの取引条件への組み込みが予想されることから、日本の紡績企業にとっても極めて重要になりそうだ。