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カケンテストセンター/東京事業所にバイオラボ開設

2021年02月18日(Thu曜日) 午後1時21分

 カケンテストセンター(カケン)は今年4月、東京事業所にバイオラボを開設する。五つの試験室を設け、抗菌や抗ウイルスなどに関する試験を始める。新型コロナウイルス禍などで健康や衛生への関心が高まる中、新ラボの立ち上げで安心・安全に貢献する。同テストセンターではウエアラブル関連の試験も強化・充実を図り、検査機関として存在感を高める。

〈五つの試験室を設置〉

 バイオラボは、埼玉県川口市の東京事業所川口本所に設置する。カケンは大阪事業所に既に生物ラボを持っているが、新型コロナ禍で抗菌や抗ウイルスなどの試験依頼が殺到。健康や衛生、安全性に対する消費者の意識が高まりを見せる中、新たにバイオラボが立ち上がる意義は大きいと言える。

 新ラボの総面積は200平方メートル。五つの試験室を設け、抗菌性試験、マスクや防護服の試験、カビ抵抗性試験、抗ウイルスの試験に対応し、恒温恒湿室ではマスクなどに求められる微粒子捕集効率試験にも応じる。抗菌試験は大阪事業所と中国の上海科懇検験服務に続く3拠点目、マスク関連の試験は大阪事業所に次いで2拠点目になる。

 細菌やウイルスなどの微生物、病原体などを取り扱う実験室・施設にはバイオセーフティーレベル(BSL)という格付けがある。今回のバイオラボは「本来はレベル1程度でも大丈夫だが、レベル2以上の部屋を作った。しっかりとした対策を取っているので安心してもらえる」と話す。

 4月1日に開設を予定し、ラボ長には浅井保博氏が就任する。人員は10人で始動するが、同1日付で新卒者が入り、経験者の募集も行うなど、ゆくゆくは15人体制としたい考えだ。微生物などを扱うには経験が不可欠であり、バイオセーフティー専門のコンサルタントを付けている。

 繊維関連の試験でスタートを切る。当初は大阪事業所生物ラボの半分程度の処理能力となる見込みだが、シフト制を導入して土曜日と日曜日も稼働する。生物ラボと同程度の処理能力になるのは約1年後と予想しているが、顧客に検査を待ってもらう期間が短くなるのは間違いない。

 新型コロナ禍の影響が大きかった2020年は、抗菌などの試験依頼が19年と比べて大幅に増えた。新型コロナが落ち着きを見せても衛生などに対する需要は簡単には縮小しない。こうしたことを受けて、大阪事業所生物ラボについても抗菌試験のラインの増設(1ライン)を実施し、納期対応の強化を図る。

〈増えるウエアラブル試験〉

 カケンが顧客ニーズの高まりに応えるため、これまで以上に力を入れたいとしているのが、ウエアラブルに対応する各種試験だ。ウエアラブル関連商品は繊維関連企業の開発が先行していたが、最近では家電メーカーや日用品メーカーからの問い合わせが増えており、さまざまな要求に対応する。

 ウエアラブルとは「身に着けられる」という意味を持ち、衣料品や腕などに装着できるIoT機器やコンピューターを指す。手がふさがっていても使用でき、長時間身に着けられる。心拍数などを計測するバイタルセンシングや人の動きを捉えるモーションセンシングなどがあり、電動ファン付きウエアもその一つに数えられる。

 昨年に東京都内で開催されたウエアラブル専門展示会に出展したところ、大きな注目を集めた。ウエアラブルの定義が広すぎることから「何をどのように評価していいのか分からない」との声もあったが、同センターには「技術を評価してほしい」という依頼が届き、昨年3月から対応に乗り出している。

 振動に対する問い合わせに加えて、屈曲性や洗濯耐久性、紫外線などに対する耐久性について知りたい顧客が多いと言う。顧客の要望を聞き、どのようなことができるかというコンサルティング的な役割を果たすほか、秘密保持契約も結ぶなど、「商品開発のメンバーの一員になっているような感覚」と言う。

 東京事業所だけでなく、大阪事業所でも試験依頼を受けており、情報交換を密に行うことで対応力を高めている。日本国内で唯一の電子回路製造業の業界団体である日本電子回路工業会(JPCA)からオファーを受け、さまざまな基準作りのメンバーにも名前を連ねている。

〈カケンが担う役割〉

 カケンが持っている大きな強みはブランド力にある。カケンは「(検査結果が)厳しいと言われることが多いが、しっかりとした姿勢で検査に臨んでいるという証拠」と強調する。人材も強みの一つであり、高い能力を持つ人も多い。ウエアラブルをはじめとする新しい分野にも積極的に挑戦している。

 検査機関は一般消費者にはあまり知られてこなかったが、新型コロナウイルスの感染拡大で安心・安全には必要不可欠な存在という認知が広がりつつある。同センターに入り社会貢献したいという若い人も増えている。今後は“出来上がった商品”の検査だけではなく、一歩踏み込んで顧客の商品開発の手伝いもできればと話す。