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特集 ボディー&レッグファッション/新たな価値提供への第一歩

2021年03月10日(Wed曜日) 午後1時26分

 アウターと比べ安定しているといわれるボディー&レッグファッション市場も新型コロナウイルス感染拡大の影響から逃れることはできなかった。ただ厳しさの中にも明るさは見え、各社の方向性もはっきりしてきた。「新たな価値の提供へ」。21春夏の展開はその第一歩になる。

 新型コロナの感染拡大に伴い、昨年4月に発出された緊急事態宣言。店舗の休業・営業時間短縮や外出自粛などが響き、インナー・レッグ市場の20春夏は盛り上がりを見せることなく終了した。電子商取引(EC)サイトでの販売は順調だったが、全体の落ち込みは補えなかった。

 20秋冬も新型コロナ禍が続いたものの、回復を感じさせた。19秋冬は10月の消費増税で買い控えられ、今季はその反動増があったほか、例年と比べて寒くなるのが早く、気温の低い日が多かったことも奏功したようだ。しかしながら2度目の緊急事態宣言発出後は再び勢いを欠くことになってしまった。

 厳しさの中にも明るさはあった。イエナカ需要でルームウエアやルームソックス、快適な着用感が得られるノンワイヤーブラなどが順調で、睡眠時に着用するナイトブラも販売を伸ばした。ケアや体形にも意識が向けられ、ワイヤー入りブラや補整系下着にも注目が集まった。

 21春夏はこうした流れを受けながら各企業がそれぞれの方針で販売拡大に取り組む。ワコールは重力から胸を守る「モア ボディ ケア」の商品群提案に継続して力を入れ、トリンプ・インターナショナル・ジャパンは胸をふんわりメークする「妖精のブラ」を新発売する。

 一方のレッグ分野は、働き方の変化でビジネス靴下やストッキングが厳しい状況にある。レッグウエア製造卸は新たな取り組みに挑戦し、福助はストッキング編み機を使った新商品開発に乗り出し、ナイガイはカタログ通販を始める。

〈ワコール「ワコール」/執行役員卸売事業本部 ワコールブランドインナー ウェア商品統括部長 岡本 克弘 氏/昼も夜も「ケア」〉

 新型コロナウイルス禍が続いていますが、「ワコール」ブランドの販売は計画通り、もしくは計画を上回る水準で推移しています。昨年7月以降は回復を見せていますが、特に10~12月は顕著です。消費増税があった一昨年は比較対象にならないと思うのですが、18年と比べても悪い数字ではありません。

 けん引役になっているのが重力から胸を守る「モア ボディ ケア」の商品群です。睡眠時専用ブラジャーの「ナイトアップブラ」もその一つです。新型コロナの影響もあるのか、「ケア」への意識が高まっています。それが肌や足だけではなく、胸にも浸透してきました。

 21春夏もモア ボディ ケアに重点を置きます。「重力に負けないバストケアBra」の提案を強める方針で、「パルファージュ」のラインアップに加えます。ただし、単品で展開するのではなく、ナイトアップブラなどを合わせてセットで訴求します。

 刷新した「ワコールサイズオーダー」(旧デューブルベ)ですが、オーダーの需要も大きいとみており、電子商取引(EC)サイトでの展開を含めて積極的に伸ばします。新たな仕組みも導入します。

〈ワコール「ウイング」/執行役員卸売事業本部 ウイングブランドインナー ウェア商品統括部長 上野 顕之 氏/より快適な日常を〉

 「ウイング」ブランドの2020年4~12月は、前年の販売実績には届きませんでした。新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかったと言えます。ただ10~12月については一昨年の消費税増税による落ち込みの反動もあって前年を5%上回りました。

 新型コロナ禍でしたが、分野によっては好調な商品もありました。その一つが睡眠時専用ブラジャーの「ナイトアップブラ」です。そのほか30、40代を狙った「エアリーソフトブラ」も好調に推移しました。一方で年齢層の高い世代向けのガードルなどは苦戦しました。

 21春夏も不透明感が強く、順調だった19春夏と比べて5%減を予想しています。商品では重力からバストを守るという発想から生まれた「重力に負けないバストケアBra」やナイトアップブラが主力です。エアリーソフトブラも新デザインを投入します。

 ウイングはリニューアルを済ませ、より幅広い世代に愛されるブランドに生まれ変わりました。バストケアの重要性をもっと多くの人に広げ、ウイングの商品を着用してもらうことで毎日をより快適に過ごしてほしいと思います。

〈トリンプ・インターナショナル・ジャパン/ヘッド オブ ブランドマーチャンダイジング 中谷 亜 氏/コンフォートがポイント〉

 2020年は新型コロナウイルス禍に振り回されました。1回目の緊急事態宣言発出時は小売店舗の休業や営業時間短縮が響き、「売りたいと思っていた商品」を売ることができませんでした。ネット販売は伸びましたが、全体として売り上げと在庫のバランスを取ることに苦労しました。

 緊急事態宣言解除後は順調で、6、7月は大きく伸長しました。中でも良かったのが「恋するブラ」や「アモスタイル バイ トリンプ」で販売している「夢みるブラ」です。ベストセラー商品の強さを改めて認識しました。

 2度目の緊急事態宣言発出後は再び厳しさが強くなりましたが、GMSチャネルは健闘しています。ここでも恋するブラはけん引役です。恋するブラはカップもレースもストレッチ素材を使い、バストメークのカテゴリーの中でも快適に着用できるブラです。この辺りも人気の理由です。

 イエナカ時間が長くなり、快適な着用感へのニーズはさらに高まっています。ベストセラーとコンフォートを掛け合わせた商品の提案がポイントになってくると考えており、5月には「妖精のブラ」を発売します。

〈グンゼ/インナーウエア事業本部 MD本郡 本部長 千葉 あゆみ 氏/21春夏ワイヤーで新商品〉

 20秋冬はメンズ、レディースインナーともに前年同季とほぼ同じ規模の売り上げを維持しました。新型コロナウイルス禍でアパレルが大きな打撃を被る中で健闘しています。

 昨年春は緊急事態宣言の影響で都市部はどこも店が閉まり痛手でしたが、8、9月と少しずつ回復に向かいました。寒くなるのが早く2020年10月には保温商品で需要の高まりがありました。その後も冬らしい寒さとなり、今もまだ20秋冬商品の動きがあります。

 消費者の在宅時間の増加でカップ付インナーや寝ている間のバストをケアするナイトブラも良く売れました。販路としてはネット通販に勢いがあります。当社は家の中で着用するアパレルは全てカバーしています。22年3月期までにはEC化率20%を目指します。

 21春夏は久しぶりにワイヤー入りのブラジャーを出します。ノンワイヤーで楽に過ごしたいというニーズもありますが、しっかりと胸の美しい形を作りたいというトレンドも戻ってきていると感じます。「マシュマロボムブラ」という商品で会員制交流サイト(SNS)での発信力のあるモデルを採用してアピールを強めます。

〈フジボウアパレル/企画調達部 次長 近野 英樹 氏/売れ筋深化でファン拡充〉

 20年は冷え込んだ日も多く、暖冬ではなく、比較的寒い冬だったという感覚があります。20秋冬は実際に厚手の肌着が動いたのですが、防寒系インナーはもう少し売れても良かったのではないかという印象を持っています。新型コロナウイルス禍で消費意欲が盛り上がらなかったのかもしれません。

 ここ数シーズン続けている方針ですが、「BVDレディース」はファンを増やすことに力を入れています。このため21春夏も新商品の投入に重きを置くのではなく、売れ筋商品のバリエーションを拡充します。軽量感が人気のブラジャー「涼ブラ」がその代表です。

 涼ブラは毎シーズン確実に売れるヒットアイテムです。21春夏はジャカード生地を使って通気性を高めたタイプを打ち出します。そのほか、昨年好評だったテレビショッピング向けでプリントの新柄を提案し、ネット販売専用の涼ブラも展開します。

 サステイナビリティー対応の取り組みも深めます。タイの生産拠点であるジンタナフジボウは世界規模の責任ある認定生産(WRAP)の認証を取得しているほか、オーガニック繊維製品であることを証明するOCS認証取得に動いています。

〈アツギ/執行役員商品部部長 中村 智 氏/着用の機会を増やす〉

 当社が主力としているストッキングはインバウンド需要の陰りに対する対策が求められていました。そこに新型コロナウイルス禍です。小売店舗の休業・営業時間の短縮に加え、外出自粛などに伴う着用機会の減少が直撃しました。こうしたことから20春夏と20秋冬は思うような結果が残せませんでした。

 靴下やインナーについても新型コロナの影響がありましたが、アイテムの見直しを実施したことなどが奏功して10~12月は前年並みで推移しました。

 ただし春夏、特に4~6月の苦戦が大きく、2度目の緊急事態宣言発出によって再び勢いをなくしました。

 21春夏は比較的底堅い動きを維持している靴下やフットカバーを充実したほか、抗ウイルス商材、夏場対策商品を打ち出しました。19春夏の数字にどれだけ近づけるかだと思っています。

 ストッキングは市場が縮小しており、今後はいかに着用機会を増やすか、価値を再認識してもらうかが鍵を握ります。その一つとして21秋冬に投入するのがはくことで消費カロリーが上がるストッキングです。こちらは運動時の着用を想定していますが、婦人だけではなく、紳士でも提案します。

〈白鳩/会長兼社長 池上 勝 氏/PB比率30%をめざす〉

 2023年2月期までに売上高に占めるプライベートブランド(PB)比率30%の達成を目指します。直近の21年1月度は前期から4・0ポイント増えて28%でした。PB商品にはメーカーとのコラボレーション商品も含みます。

 ネット通販全盛期の今、独自に企画してお客さまに喜ばれるものを作らなくてはいけません。今期も顧客に満足してもらえるニーズを先取りした新商品を企画していきます。

 足元の商況は順調です。主要メーカーのインナーに加え、大寸サイズのブラ、ルームウエア、ナイトブラ、ノンワイヤーブラなどの独自品が売れています。

 今期、業容拡大の新たな原動力となるのが昨年8月に稼働した5階建ての新本社兼物流センターです。従来、分散されていた総在庫117万点(20年8月時点)が1拠点に集約され受注、発送が大幅に効率化されました。

 2階にはロボットによる商品ピッキングサポートシステム「オートストア」があり、ピッキングスピードの向上とより正確な在庫管理による欠品の防止を実現します。創業の原点に戻ってお客さまの満足度を高めること。これが基本になります。社屋などの投資による営業損失も今年度で返すつもりで臨みます。

〈福助/経営直轄マーケティング室室長 斎藤 誠矢 氏/作る物を変える〉

 20秋冬はストッキングを中心とする長物アイテムが厳しい状況でした。20春夏から続いている傾向ですが、新型コロナウイルス禍に伴う外出自粛やテレワークの浸透で着用機会が減ったことが要因と分析しています。靴下は、紳士のビジネスが苦戦しましたが、ルーム系やスポーツ系は踏ん張りました。

 チャネル別ではネット販売が順調で、2020年4~12月は前年の同じ時期と比べて40~50%増となりました。特定の商品ではなく、おしなべて伸びた感があり、ストッキングの販売も落ちませんでした。実店舗は量販店・GMSは健闘しましたが、都心を中心に直営店は勢いを欠きました。

 先行きは不透明感が強く、21春夏も市場環境は大きく変化しないでしょう。このため作る物や売る場所を変える必要があると考えています。ストッキング編み機を活用してこれまで手掛けてこなかった商品を生み出します。キャミソールなどの衣料品のほか、産業資材にも目を向けています。

 売る場所については開拓できていない販路が残っています。国内だけでなく、海外にも可能性があり、新たにロシアに進出しました。日本の約3倍の価格なのですが富裕層を中心に人気です。

〈ナイガイ/執行役員CS部担当商品部門 技術開発部担当兼技術開発部長 土屋 聡子 氏/V字回復へ良いスタート〉

 20秋冬のチェーンストア向けは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。「ハマグリパイルソックス」や防寒物をはじめとするイエナカ需要に対応する商品は堅調な動きを見せましたが、働き方の変化や外出自粛でビジネスソックスやドレス系の靴下は苦戦しました。

 ただ20春夏物提案の時点で「新型コロナ禍は続く。たとえ収束したとしても以前の市場環境には戻らない」という予想を立てていました。2021年度にV字回復するための期間と位置付け、在庫の圧縮や仕入れ調整に重きを置きました。

 その結果、21春夏は良いスタートが切れたのではないかと感じています。

 特に手応えを持っているのが新ブランドの「整 TOTONO」(トトノ)です。トゥーレスハイソックスや腹巻き、マスクなどのアイテムがそろうのですが、テラヘルツ光波を含む遠赤外線を放出する鉱石をプリントした生地を使用しています。ポップアップ展開でも好評でした。

 靴下は生活必需品ですので、ターゲットを広げたり、販路を広げたりすればまだまだチャンスはあります。販路ではバラエティーショップなど、チェーンストア以外も着実に増えてきました。

〈三笠/社長 甘利 茂伸 氏/「Y―SDGs」認証取得へ〉

 展示会出展を取りやめたほか、既存顧客との対面での商談も難しくなるなど、新型コロナウイルス感染症の影響は小さくありません。しかしながら当社の売り上げは堅調で、昨年を上回る水準で推移しています。出版社との取り組みなどの寄与もあって特に1月は大幅な伸びを見せました。

 OEMは主力なのですが、今後の成長を考えた場合、自社製品の強化は不可欠です。そのため1年半ほど前に新規開発チームを発足しました。デザイナーを含めて5人体制ですが、外部コンサルタントの助言を得ながら、“三笠”のブランディング向上や商品開発に注力してきました。

 そうした取り組みの中で商品化したのが、テニス・バドミントン競技専用靴下の「フィットギア」です。衝撃を和らげるパイル編みの採用や吸水速乾糸の活用、左・右足専用設計などの工夫を施しています。「極フィット」「快フィット」の2シリーズをそろえ、4月に発売します。

 企業としての方針ではサステイナブル対応にも重点を置いています。横浜市のSDGs(持続可能な開発目標)認証制度である「Y―SDGs」の認証取得に乗り出しました。既に申請は終えており、審査が終わるのを待っています。

〈東洋紡STC/清潔・エコにフォーカス〉

 東洋紡STCは昨年12月、東西で1年ぶりのグループ総合展を開催した。「久々のリアル展だったせいか、人数制限をかけたものの例年並みの来場者でにぎわった」と言う。

 22春夏向けのインナー・肌着素材として清潔、エコにこだわって開発した「爽快コット―O」や「ヴァイアブロック」などを重点的に打ち出している。

 用途開拓の一環として非衣料・資材への参入を目指しており、マスク向け不織布の販売に乗り出し拡販を計画する。

 オーガニックコットンで開発した吸汗速乾「爽快コット―O」、消臭「デオドラン―O」をプロモート。オーガニックコットン使いの綿100%に機能性を付与した素材の希少性をPRし市場浸透を目指す。

 最近の清潔を求めるニーズの高まりに伴い、抗ウイルス性能が特徴のアクリレート繊維「ヴァイアブロック」、ポリエステルへの後加工「ナノバリアー」が引き合いを集めているという。

 インナー、肌着以外にも投入。入善工場(富山県入善町)でヴァイアブロック30%、ポリエステル短繊維70%によるサーマルボンドの量産に着手しており、非衣料・資材志向を強めつつある顧客への売り込みに取り組んでいる。

〈エビス/老舗が足袋で海外市場開拓〉

 1861年創業の老舗企業が海外市場の開拓に乗り出している。大阪市中央区に本社を置く足袋製造販売のエビス(ゑびす足袋本舗)だ。提案を進めているのは、一般的な足袋ではなく、土踏まず丈の独自開発商品「こたび」。フランスで成果が出てきているほか、米国市場にも目を向けている。

 こたびは、日常的にはける足袋として開発した。通常の足袋と同じく二股に分かれているが、つま先はなく、丈も土踏まずまでという独特の形。足がきっちりと収まる設計を採用しており、鼻緒で指の間が痛いと感じる人や足裏の汗が気になる人、足の甲の日焼けが気になる人から好評を得ていると言う。

 日本では2018年に提案を開始し、百貨店や自社電子商取引(EC)サイトで販売している。海外市場開拓の一環として昨年1月に欧州展示会の視察に赴いた。その際にフランス・パリのセレクトショップに直接交渉を行い展開が決まった。新型コロナウイルス下ではあるが、少しずつ売れている。

 「米国市場にも進出したい」とし、体幹などを鍛えるティラピスのインストラクターなどにサンプルを送った。足のケアの需要は高く、商機はあるとみている。