産資・不織布 通信 ( 64)

2021年03月22日(Mon曜日)

付加価値高いニッチな糸を    サイトウ撚糸

 撚糸業界では近年、アパレル需要の減退とともに、小規模な撚糸業者が市場から撤退するケースが増えている。そうした状況下、撚糸業者では珍しい紡糸の対応など柔軟な戦略で経営を維持強化してきたのがサイトウ撚糸(岡山県鏡野町)だ。

 同社は1967年に創業し、アパレル向けのカバリング糸(FTY)の撚糸からスタートした。以来、合繊のほか、導電性繊維などの特殊繊維、綿や麻などの天然繊維を含む幅広い原材料を使用。草刈りコードの生産で導入した紡糸機も活用し、付加価値の高い糸を開発している。

 現在、売り上げに占める比率は大手インナーメーカーを中心とした工業用ミシン糸など産業資材向けが45%、草刈りコードや園芸用など農業・ホームセンター(HC)関連が40%、残り15%が家庭用ミシン糸や釣り糸など個人向け(ネット通販含む)、漁業用、別注の糸になる。全体の月間生産量は40~50㌧に達する。

 最近は耐久性と細さを兼ね備える糸など、差別化に向けた糸の開発を強化。3~5¥文字(U+3325)¥文字(G3-1005)の極細でありながら超高強力のポリアリレート糸を原糸メーカーと開発しており、最終的にターゲットとする業界や用途含めて販路を開拓する。設備を独自に改良し「21年末からの安定生産を目指す」(齋藤憲資社長)。

 短繊維ミシン糸の生産に向けて77年に大野工場(鏡野町)、大手インナーメーカーの資材関連の受注に向けて99年に津山工場(岡山県津山市)を設立するなど、ニーズに合わせて生産体制も強化してきた。ただ90年代の末から市場環境が悪化し、受注は約20年で4割ほど減少。こうした状況を受け、2003年に中国、14年にバングラデシュで自社工場を設立するなど海外進出も進めている。

 直近1年は新型コロナウイルス禍で産業資材糸の販売に影響を受けたものの、HC向けの園芸関連の需要などが増加。20年10月期売上高は国内外合わせて8億円超で、前期比横ばいを確保した。

 新型コロナ禍で減少した国内の受注も戻りつつあり、今後は欧米や台湾などの市場も視野に入れる。「付加価値の高いニッチな糸の提案を続ける」ことで、今期は増収を狙う。

(毎週月曜日に掲載)