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ウールの多彩な用途/衣料以外に広がるウール/機能性とサステで魅力いっぱい

2021年03月23日(Tue曜日) 午後1時1分

 保温性などあらゆる機能性に優れ生分解性もあるサステイナブルな素材であるウール。そうした優れた特徴から用途は従来のファッション衣料だけでなく、資材や芯地、ヘアケア用品などへも広がる。ウールの需要は低迷しているが、各社の取り組みを通じウールの魅力を探る。(川口直康)

 ウールは保温性や吸湿性のほか、消臭・防臭性や難燃性、撥水(はっすい)性に加え、空気を浄化する作用もある。ウールは5層構造を持ち、これらがうまく働くことで多彩な機能を発揮できる。土に返る素材でもあるため環境に配慮したモノ作りも可能だ。

 衣料副資材製造の田幸(岐阜市)はウールや獣毛を使った芯地を手掛ける。ウールや獣毛が持つ弾力性や反発力を生かすことで形崩れせず服のシルエットを奇麗に保つことができる。毛芯地は吸湿性があるため日本の多湿の気候にも適している。

 現在主流の接着芯は樹脂を使って服に張り合わせるため手触りが硬くなりがち。その半面、毛芯地は縫製して張り合わせるため服の素材の持ち味を最大限に生かすことが可能。小野重光常務は「良い服は昔から毛芯地が使われている」と語る。

 羽毛や合繊に変わる“ウールダウン”としてウールの中わた「ラバラン」を訴求するアルゴ・インターナショナル(愛知県春日井市)。ウールの保温性や調湿性、防臭・防汚性のほか、ウオッシャブル性といった機能を武器にスポーツやアウトドア向けに打ち出している。

 ラバランを製造するのはドイツのウール加工業、バウアーフリストッフェ。設立100年以上を誇る老舗メーカーで特殊な技術を生かして開発した。ラバランはノンミュールシングウールにポリ乳酸を混ぜておりサステイナビリティーも意識した。

 ウールに含まれるたんぱく質成分のケラチンに着目したのが、ヘアケア商品製造のリトル・サイエンティスト(愛知県一宮市)だ。溶かしたウール原料を使用したシャンプーやトリートメントで髪の毛を丈夫でしなやかにすることができる。

 ウールのケラチンが髪の毛のケラチンに結合し強度を高められる。動物繊維にも応用が可能で、野村恭稔社長は「繊維を丈夫にすることができるので、サステイナビリティーの流れにも合っている」と話す。

 「ウールは素晴らしい機能がある素材。異業種へ打ち出せばダイヤモンドになる」と話す長尾商事の長尾和彦社長。原料商の同社は住宅の断熱材としてウールを活用している。

 「エコール100」という商品名で販売しており徐々に実績もできつつある。一般的に断熱材として使われるグラスウールに比べても機能性に優れており、人や環境にも優しい。実際に使ったユーザーからは暖かさが持続するという声が寄せられている。

 このようにウールはさまざまな用途で使用されてきたが、需要低迷とともに消費者がウールについて知ることが少なくなってきたのも事実。今後はどのようにウールの魅力を発信するかが問われそうだ。