明日へ これが我が社の生きる道 縫製編(4)

2021年03月26日(Fri曜日)

一番に思い浮かべてもらえる工場に アパークス

 アパークス(広島県福山市)は、ジャケットやコートといったアウター類の縫製を得意とする工場だ。CAD、CAM(自動裁断機)を導入して一気通貫の生産体制を確立させるなど、時代に合わせながらモノ作り機能を整えてきた。1999年には婦人服ブランドを立ち上げ、早くから自販事業も開始。縫製とブランド事業の2本柱で堅実な経営を続けている。

 佐藤浩喜社長(61)、隆昌専務の父である故・篤氏が妻の千代子さんと1960年に創業。ワークウエアの縫製から始まり、徐々に事業を広げてきた。中でも、60年代の高度経済成長期に、旧レナウン向けにスキー服などのアウター類を手掛けたことは会社が成長する転機の一つにもなった。佐藤専務は「ワンアイテムで3千~5千枚など、年間を通してすごい発注量だったと聞いている」と話す。

 90年にアパークス・サトーとして法人化。ちなみに“アパークス”はアパレルとワークスを掛け合わせた造語だ。この頃から「地場の特性を生かす」(佐藤専務)として、福山で生産が盛んなデニムを使った製品の縫製を増やす。ただ、シンプルなジーンズを縫っていては差別化ができないと、デニム製でもデザインが凝ったコートなど、産地内の工場があまり受けないような縫製に力を入れた。これが現在も同社の強みとなっている。

 98年ごろから、工場の海外移転や、バブル崩壊の影響で受注が減少。篤氏は状況を打破しようと工場直販ブランドの立ち上げを画策する。当時、繊維商社に勤めていた浩喜氏を呼び戻し、婦人服ブランド「ズッケロ」を99年に立ち上げた。

 ズッケロは、イタリアンテイストのエレガントなデザインが特徴。浩喜氏の繊維商社時代の経験も生かしながら、卸先を開拓していった。現在は関東方面を中心に20店舗ほどに製品を卸している。2019年には、ニットメーカーなど2社と協力し、各社のブランド商品を販売するショップ、J―ファクトリーを東京都内にオープンした。

 近年は、多品種、小ロット、短納期に対応できる体制の整備に力を入れてきた。17年に、CAD、CAMを導入し、企画デザインから生産、品質管理まで一気通貫のモノ作りの環境を整えた。昨年には新社屋を建設。新たに出荷場を設けるなど、工場の機能をさらに磨き、「アパレルメーカーがどこで縫おうかと考えた時に、一番に思い浮かべてもらえる工場を目指す」。

 新社屋の1階にはズッケロのショップを開設。商品の販売だけではなく、服のリメークやリペアなどの相談にも乗ることができる地元に根付いた店舗を目指し、今後は発信を強化する。

(毎週金曜日に掲載)