明日へ これが我が社の生きる道 縫製編(5)

2021年04月02日(Fri曜日)

工場内に職業訓練校 イワサキ

 大阪府東大阪市で高級婦人服を縫製するイワサキの従業員数は80人。日本の婦人服縫製工場としては大手だ。しかも、平均年齢は23~24歳と若い。大阪府初で現在では大阪府唯一だと言う洋裁の職業訓練校が工場内にあるため、技術を身に付けたいと全国から若者が集まってくるからだ。

 岩﨑靖璋会長(79)の父が1947年に創業した。長男だった岩﨑氏は小学生の頃から、学校が終わると仕事を手伝った。だから、当時の男の子の遊びの定番である野球も「一回もやったことがない」と言う。ただ、家業を継ぐ気はなかった。工業高校を卒業すると東京電気(現テック)に入社する。ところが1年後に、父に強引に呼び戻された。

 当初はやる気が出なかった岩﨑氏だが、20歳になると、父が体調を崩したこともあり、頑張り始める。奈良の山奥の中学校へ行って、社員を集めるが、直ぐには使いものにならない。徳島県の職業安定所を訪ねた時に、職業訓練校を作り、国家検定である洋裁技能士の資格を取れるようにしてあげればいいと助言される。で、工場内に訓練校を設けることにした。

 鉄筋5階建の寮も新設し、家賃1万4千円で入居できるようにした。しかも、1日3食の賄いも1カ月1万5千円で付けた。初任給が高いわけではないが、家賃、食費を勘案すれば相当な好待遇だ。しかも、資格を取るための勉強もできる。このため、若者が全国から集まり始めた。現在は専門学校、短大、大学卒のみを採用している。毎年12~13人を採用してきたが、多い時はその6倍の応募があったという。

 大阪府下に3人しかいないという特級技能士のうち2人は同社にいる。その1人である安達正敏社長(55)や、指導員免許を持つ同社ベテラン社員が訓練校の講師を務める。イタリアのモデリスト養成校セコリとのライセンス契約で設立されたセコリ・ジャパンスクールから講師を招き、パターン(型紙)も教える。パターンは同社顧客が提供するのでパターン技術を覚えることは仕事に直接必要なわけではないが、「パターンが分からないとうまく縫えない」(岩﨑会長)として教えている。これでまでに千人以上が訓練校を卒業し、約800人が2級技能士の資格を取得した。

 2019年には、政府の助成を得て企業主導型保育園も開園した。結婚し、子供ができてからも働いてほしいとの思いからだ。最大20人を入園させることができ、うち10人までを自社社員の子供とすることができる。現在、定員いっぱいに入園しており、うち1人は同社社員の子供だ。

(毎週金曜日に掲載)

社名:株式会社イワサキ

本社:大阪府東大阪市菱屋西

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代表者:岩﨑靖璋、安達正敏

主要生産品目:婦人服全般(織物製、丸編み地製)

従業員:本社75人、鹿児島工場5人