メーカー別 繊維ニュース

環境新書特集・人と地球に優しい繊維(2)

2004年06月01日(火曜日)

 環境に対する意識の高まりから、繊維素材メーカーはこの数年、人と地球に優しい素材を次々と開発してきた。もちろん、今はまだ大きなビジネスに成長しているわけではない。ただ、年々、環境に配慮した素材への要望は高まっており、繊維素材メーカーは手応えを感じ始めている。各社が力を入れる人と地球に優しい素材の一部を紹介する。

旭化成せんい「ベンベルグ/綿花が原料 生分解性もある

 旭化成せんいのキュプラ繊維「ベンベルグ」は高級服に使う裏地の代名詞だが、実は環境に優しいエコロジー繊維でもある。

 ベンベルグは1931年に生産開始で、70年強の歴史を持つ。しかも世界生産のほとんどを同社が有する“オンリーワン繊維”でもある。その原料は綿花。綿花の種子を包むうぶ毛状の短い繊維(コットンリンター)を原料にした再生セルロース繊維である。石油から作られる合成繊維ではない。このため、土中のバクテリアによって、水と二酸化炭素に分解し、土に帰る。今、流行の生分解繊維でもある。「エコマーク」はもちろん、欧州の環境規格である「エコテックス・スタンダード100」の認定も受ける。

 ベンベルグ繊維の断面は真円に近く、天然繊維のようなムラがない。また、綿やレーヨンなどと異なり、表面にスキン層がなく、多孔質のため発色性や吸放湿性に優れ、シルクのようななめらかさと光沢を持つ。

 こうした特徴は裏地だけでなく、他用途でも認知されており、アウター、インナー、スポーツ、寝装などにも使われる。

オーミケンシ・機能レーヨン「クラビオン」/欧州での認知度も高まる

 オーミケンシは「地球・環境・人にやさしいモノ作り」を掲げ、ECF(エコロジー・クリーン・ファイバー)としてレーヨン短繊維の商品群を広げている。 ECFに組み入れる「クラビオン」は、欧州でも認知度が高まっている。同素材は、紅ズワイガニの殻から抽出したキチン・キトサンと木材パルプを溶解、融合させて繊維化。抗菌防臭性を備え、アレルギー肌にも優しい。

 昨年からばんそうこう素材として不織布を供給。また、わた売りでも少しずつ欧州に輸出し、パンフレットにカニの写真を入れ宣伝するイタリアの紡績企業も出てきた。EUの加盟国拡大とともにヨーロッパ全土に広がることを期待する。

クラボウ「グリーンペット」/エコロジー追求の新商品

 クラボウはこのほど、「ヒューマンフレンドリー発想(人と地球の健やかな環境を考える)」のもと、プロセス(製造工程など)からマテリアル(素材、原料)をトータルに見つめ直し、総合的に提案する「エコビジョン」の考えをまとめた。

 そのような中で生まれたのが、ペットボトルをポリエステル繊維原料として再利用した「アフターペット」と、北条工場(愛媛県)の開繊技術により誕生した月桃、ヘンプなどの植物原料と綿の混紡素材「植物楽園」シリーズを組み合わせた新素材「グリーンペット」だ。

 ポリエステル55%を植物楽園シリーズと混紡した原糸を布帛で展開。エコマークも取得できる。ナチュラルな素材感が着心地の良さを与え、ポリエステルのイージーメンテナンス性からユニフォーム関連を中心に広げる。

 素材のみならず、生産の工程段階からエコロジー面で多様な企画を顧客に進めるクラボウ。さらに“企業間の連携”も視野に入れ、エコ関連のコラボレート商材を、今秋にも打ち出す方向で、取り組みの強化も進めている。

サンランド「エコオルゴール」/環境にやさしい素材に注力

サンランド(大阪府泉南市)は、エコマークを取得できる未利用綿糸「エコオルゴール」を5年前に打ち出した。昨年エコマーク認定基準が緩和され、その用途は着実に広がっている。混率は、未利用綿70%・バージンコットン30%を軸に、ウール、シルクノイル、レーヨン、アクリルなど他素材混を展開する。

 また、イグサ綿糸も少しずつ認知度が高まってきた。畳表を製造する際に発生する裁断くずをアルカリ減量加工で繊維質のみを取り出し、反毛を行い繊維化。イグサ畳表の端部分60キロから繊維状として取り出せるのはわずかに5キロ。さらに厳選し、最終的には2.2キロの原料から紡績する。

 イグサは空気浄化、遠赤外線効果、湿度調節などの機能を持つ。使い終わった畳表をリサイクルすることから環境に優しい素材として注目度は高い。

ダイワボウ・落ちわた使い「ジンモ」/広がるエコ素材群

 ダイワボウのエコ素材はエジプト綿の落ちわた使い「ジンモ」、ケナフ使い、ヘンプ(大麻)使いの「ヘンプル」、カポック使いの「カプック」の4つを軸にした展開を進めている。

 ジンモは、コーマ工程で出る落ちわたを使うため、数量にも限りがあり、多く生産できない。販売数量は月30コリ程度。ニットでの展開が増えてきた。

 ジンモをさらに発展させた、再生ポリエステル「エコペット」70%との混紡糸のテキスタイル「エコフレンド」も開発。ジンモと他素材の組み合わせによる混紡糸も企画段階で、新しいエコ素材群の広がりも見せる。

 ケナフ混素材はタイケナフと呼ばれるローゼル繊維を紡績可能なわたに加工し綿と混紡。大手アパレルメーカーに出荷し、Tシャツがすでに店頭に並ぶ。ヘンプルはナチュラルな風合いやシャリ感、ドライ感が特徴で、パンツ素材向けが多い。

 ケナフ、ヘンプ、カポックなどそれまで利用価値の低かったものだ。そういった原料を発掘し、今後も環境にやさしい素材群を増やす方針だ。

ダイワボウレーヨン・高強力レーヨン「ヴィレイ」/環境へのやさしさもPR

 レーヨンは、木材パルプのセルロース部分をアルカリ処理して、薬品にて溶かしたものを繊維にするため、再生繊維と呼ばれる。主成分が綿などと同じセルロースのため、土に埋めると分解、消滅する。また、燃焼しても炭酸ガスと水になり、有毒ガスは出ない。ダイワボウレーヨンではレーヨンの製造段階で使う二硫化炭素、硫化水素の回収などへの投資を積極的に進めており、工場から有害な物質やにおいが出ないように環境対策にも万全を期す。

 レーヨンは綿よりも吸水性・吸湿性に富み、光沢感、染色性、熱安定性、制電性など優れた部分を多く持つ。だが、強力が低く、縮み安く、シワになりやすいという欠点も抱える。

 そこで同社が開発したのが高強力レーヨン「ヴィレイ」だ。従来品よりも強力が20~25%高く、生地の収縮率も3ポイントほど改善できる。「世界初の全く新しいレーヨン」(岡本彬社長)として、衣料、資材資材分野にわた、紡績糸を販売。初年度は月間10トンの生産量を見込む。