ITMA2011バルセロナ/動き出した欧州勢/新機種披露にサプライズ要素も

2011年07月08日 (金曜日)

 今年9月22日から29日までの8日間、スペイン・バルセロナで国際繊維機械見本市「ITMA2011」が開催される。4年に1度開かれる世界最大級の繊維機械見本市であるITMAは、“繊維機械のオリンピック”と評され、各国メーカーが最新技術・機種を披露する場として今回も世界の注目を浴びる。開幕まで3カ月を切ったことで、繊維機械メーカーの中でも地元・欧州勢が動き出した。新機種の披露に加えて、サプライズ要素もうわさされる。

 お膝元での開催ということもあり、ITMAでは欧州勢が積極的な提案を行うことで知られる。今回もスイス勢を皮切りに出展内容が徐々に明らかになりだした。

 イテマウィービングは、新機種としてエアジェット(AJ)織機「スルテックスA9500」、レピア織機「バマテックスシルバー501」を実機出展する。電装関連で新開発のプラットホームを搭載し、フルカラータッチパネル端末による操作はもちろん、DOS/Vソフトウェアによる制御やUSBによるデータ入出力・管理にも対応した。こうした電装関連の高度化・汎用化は、今回のITMAの大きな特徴になる。

 ストーブリは、新型の耳ネームジャカード「ユニバレット」を披露する。開口動作を独立駆動方式化することで、従来では不可能だった開口制御が可能になる。独立駆動方式は、4年前の「ITMAミュンヘン」あたりから本格的に登場したトレンドだが、一段の普及と深化が進むと予想される。

 紡績機械関係では、リーターが新型のAJ式精紡機「J20」を披露する点に注目。AJ式精紡は、日本の村田機械が特殊渦流精紡機「ボルテックス」で技術的にも市場をリードしてきた分野だが、そこにローター式オープンエンド精紡機で実績のあるリーターが打って出る構図となる。また、リーターは、詳細は不明ながら極秘開発機の披露をにおわせる。関係者の間でも憶測が広まっており、一部では「自動ワインダーに参入するのではないか」といったうわさもある。

 さらに不気味なのがエリコングループの動き。化合繊機械のエリコン・バーマーグが仮撚り機を出展することが明らかになったほかは、紡機・自動ワインダーのエリコン・シュラホーストなどは出展内容の詳細を明らかにしていない。これも一つのサプライズ要素となりそうだ。このほか、まだ具体的な出展内容を明らかにしていないピカノールやドルニエなど有力織機メーカーの動きも気になるところ。

 そして何より、アウェーに乗り込む形となる村田機械、豊田自動織機、津田駒工業など日本勢の動向を世界中が注視する。いくつか革新機種が登場するのではないかという期待は大きい。ITMA開幕が近づくに連れて、各国繊維機械メーカーの情報発信を巡る綱引きが激しさを増してきた。