韓国・三一紡績/「ポレクシル」を開発/ポリエステル100%ボルテックス糸
2011年09月02日 (金曜日)
【ソウル=宇治光洋】韓国の有力紡績、三一紡績はこのほど、保有する村田機械の特殊渦流精紡機「ボルテックス」によるポリエステル100%紡績糸「ポレクシル」を開発した。ボルテックス糸の性質と機能性ポリエステル短繊維の機能を融合することで「様々な機能を持ったボルテックス糸が可能になった」(R&Dマーケティング部のイ・ウキョン部長)。8月31日からソウルで開催された繊維素材展示会「プレビュー・イン・ソウル」でも披露した。
同社は、これまでもボルテックスを活用した開発に定評があり、レンチングファイバーズの精製セルロース繊維「テンセル」をボルテックスで紡績した糸「エコシル」は、抗ピリング性や生地にした際の独特のハリコシ感などで高い評価を得てきた。一方で近年、機能素材へのニーズが高まっていたことから、機能わたが多数存在するポリエステルをボルテックスで紡績する研究を行ってきた。
通常、ポリエステル100%をボルテックスで紡績すると油剤との関係で精紡室に不具合が生じ、可紡性が低下するという問題があった。これに対して三一紡績では、コーロンやヒュービスなど韓国のポリエステル短繊維メーカーと協力し、さらに油剤の調整も行うなどしてボルテックスによるポリエステル100%紡績糸「ポレクシル」の開発に成功した。
ポレクシルは、原綿にポリエステル機能わたを使用できることで「吸汗速乾、温度調整、抗菌、消臭、UVカット、接触冷汗など多彩な機能糸を生産できる」(イ・ウキョン部長)。もちろんボルテックス糸の特徴である抗ピリング性、吸水性、ハリコシ感も持つ。
同社ではポリエステル50%混までをポレクシルのブランドで展開する。まずは、これまで同社のレーヨン紡績糸やポリエステル・レーヨン混紡糸、レーヨン・綿混紡糸などを使用していたユーザーに販売を進める考えで、先染め織物や丸編み地用途で原糸からの機能素材化の可能性を提案する。日本を含めた海外市場にも積極的に提案する。