村田機械/3新機種が衝撃デビュー/ドラムレスワインダーも

2011年09月27日 (火曜日)

 村田機械はITMAバルセロナで新型渦流精紡機「ボルテックスⅢ870」、新型自動ワインダー「QPRO」、新型自動ボビントレーシステム「プロセスコーナーⅡ」をデビューさせた。参考出品としてドラムレス方式自動ワインダー「FPRO」も披露。来場者に衝撃を与えている。

 ボルテックスⅢ870は、従来のボルテックスから大幅なモデルチェンジを行い、糸品質の安定を最大のテーマに据えた。精紡室から糸を引き出すデリバリーローラーを従来のニップローラーからフリクションローラーに変更することで精紡段階の糸テンション制御を格段に向上させ、高品質な糸を安定的に紡績することができる。コンタクトセンシングによるスピニングセンサーも新たに搭載することで糸テンションを常時監視し、欠点発生時には瞬時に稼働を停止させることで原料ロスも大幅に低減する。ITMAではモダール・綿混紡糸40単を毎分460メートルで紡出する実演を行い、その性能を見せつけた。

 一方、QPROは「No.21」の後継機。1錘当たり6個のステッピングモーターを搭載し、各機構を独立に駆動制御することで従来機では不可能だった挙動を実現する。ムダな挙動が排除されていることで生産性は従来機から5%向上し、糸1キロ当たりのエネルギー消費も10%低減する。最速毎分1700メートルのワインディングが可能だ。コントロールシステムも新設計の「VOSⅢ」にバージョンアップ。糸のモニタリング機能が追加された。QPROに接続するプロセスコーナーⅡは、従来のプロセスコーナーの高速性を強化した。

 参考出品ながら、さらに衝撃的だったのがFPRO。ガイドバーで糸軌道を制御するドラムレス方式自動ワインダーだ。ドラム交換せずに様々な巻き取り方法をコントローラーによる設定入力だけで変更可能な上に、リボン巻きを防止することができる。毎分1700メートル~1800メートルのワインディングが可能で、パッケージ形状もチーズ、コーン両方に対応する。

 今回のITMAでは、村田機械の動向が最大の注目点となっていたが、今回の新機種披露で、競合メーカーをさらに引き離す技術力を見せつけたといえそうだ。