中国市場に熱い視線/きょうまで開催中Jテキスタイル

2012年04月20日 (金曜日)

 きょう20日まで上海世貿商城(上海マート)で開催中の「2012(春季)上海紡織服装展覧会」の初日来場者数は前年並みの延べ5292人となった。そのうち「第2回日中韓テキスタイル展」の日本コーナー“Jテキスタイル”には33社が出展する。市場調査から商売の拡大まで目的は様々だが、各社一様に中国市場に熱い視線を注ぐ。(上海支局)

【嵐世商貿〈上海〉/ミセス向けに】

 五十嵐貿易の現地法人、嵐世商貿〈上海〉は今回が初出展。中国のミセスゾーンのアパレル向けに日本製や中国、韓国製などの生地を紹介している。カラーでの備蓄体制も訴求する。

 中国国内販売向けの取り組みは1年ほど前から再開。五十嵐貿易の販売2課の曽谷正治氏は「日本では製品OEMまで、手がける。中国ではまだないが、いずれは」と期待する。

【一村〈上海〉貿易/ストレッチを】

 一村〈上海〉貿易は昨年に続く出展で、日本製のストレッチ素材を主力に提案している。春夏向け展示会だが、秋冬向けもそろえた。昨年の「インターテキスタイル上海」や北陸合繊クラスターによる展示会でも一貫してストレッチ素材を紹介してきたことで、松永圭営業課長は「展示会後にオーダーも獲得できるようになってきた」と手応えを感じている。

【大津毛織/「軽良」の毛織物】

 大津毛織は今年から展開を始めた軽量な「軽良」シリーズを提案している。ウールをはじめ、タスマニアウールやカシミアなどのシリーズを訴求。福本馨テキスタイル部課長は「軽くて、ソフトで、暖かい」と説明する。

 耐久撥水防汚素材の「フリックモード」も引き続き紹介。ウールの風合いを損なわず、高い洗濯耐久性を持つ。

【旭陽産業/4本柱の反応探る】

 旭陽産業は中国製のスポーツ素材に加え、日本製のスポーツ、インナー、表地、裏地素材を紹介。現地法人、旭化成紡織品貿易〈上海〉の中村吉宏部長は「旭陽産業の4つの柱が中国で得ることができるか調べる」考えだ。

 グループ会社である旭化成せんいのキュプラ繊維「ベンベルグ」使いの表地など差別化された商品をそろえた。

【カイハラ/ソフトな風合い】

 カイハラでは「ソフトな風合いのデニムの反応が良い」(営業部営業1課の灰原誠氏)と言う。同社は定番商品だけでなく、6~7割を新商品でそろえた。

 新商品開発プロジェクトチームによる開発商品「パウダーストレッチデニム」やセルロース繊維「テンセル」使いなどソフトな風合いのデニムが来場者に好評だったという。

【近絹〈上海〉商貿/糸から製品まで】

 近絹〈上海〉商貿は機能素材を軸に糸から製品までアピールした。各種の機器をそろえ、温度関係の機能などが目で見て分かる形で訴求した。

 従来から上海で備蓄販売する6素材に加え、昨年から新たに始めた毛羽が少なく抗ピリング性も高い「クリスタルホープ」、速乾素材「クールファイン」も紹介。井畑雅年総経理は「クリスタルホープはバイオーダーで機能素材使いも対応していく」と説明する。環境配慮型のレーヨン「リ・テラ」も提案している。

【熊澤商事/「ソアロン」の生地】

 熊澤商事はトリアセテート繊維「ソアロン」を使った生地を提案。高価格帯の商品だが、日本での備蓄体制に小ロット、短納期への対応もアピールする。

 片矢直樹合繊第三部長は「日本国内の延長で中国市場も開拓していきたい」考えだ。中国市場向けの販売には隣にブースを構えたサンウェルの現地法人、燦日泉〈上海〉貿易とも協力している。

【可楽麗魔術粘扣帯〈上海〉/面ファスナーを】

 クラレファスニングの現地法人、可楽麗魔術粘扣帯〈上海〉は成型面ファスナーや縫製面ファスナーを提案。黄育新工場長は「中国国内市場での販売をより広げたい」考えで、中国での独自の出展は初めてだという。

 衣料品用途では品質や環境対応を訴求。環境対応型として環境に優しい生産方式の「ニューエコマジック」を訴求している。

【新翔国華商貿〈上海〉/日中韓の生地】

 コッカの現地法人、新翔国華商貿〈上海〉は日本製の生地に加え、韓国現地法人で扱うプリント生地の備蓄やレース、中国で備蓄しているプリント生地を提案した。

 子供服の製品サンプルなどをそろえた。中国向けの販売は現状、日本製のプリント生地が主力。日本製生地では価格などの面から子供服関係が入りやすいという。

【サカイオーベックス/素材ブランド披露】

 サカイオーベックスは中国市場向けに素材ブランドを披露した。軽量織物「ライトパフォーマー」、吸水速乾「ドライパフォーマー」、ストレッチ素材「フィットパフォーマー」の3ブランドを紹介。中国市場向けに付けたブランドで、今回の展示会がお披露目となる。尾崎郁夫取締役は「中国では素材にもブランドがないと厳しい」とみる。

【柴屋/メンズカジュアルへ】

 柴屋は日本で備蓄する日本製のメンズカジュアル向けの素材などを紹介している。併せて、このほど上海マートに設けた上海事務所も告知した。

 寒河江要東京営業所営業部長は「日本に比べ小売価格の高いアパレルも多い」と中国市場に期待する。将来的には中国での生産、備蓄体制の構築も検討している。

【第一紡績/製品ブランドも】

 第一紡績は春夏、秋冬向けに温度関係の機能素材などを訴求。吸湿発熱の「暖溢」、接触冷感の「美風」など中国向けに素材ブランドを用意した。乾義和社長は「現地企業も機能に興味を持っている」と手応えを感じている。

 素材だけでなく、自社の肌着ブランド「シンプルマインドクール」も紹介。商品の展開はもちろん、OEMの獲得も狙う。

【東京吉岡/日本製をPR】

 東京吉岡は中国での展示会出展が初めて。中尾忠範第三営業部長は「日本製の商材を中国で販売したい」と話す。

 消臭機能を持ったネームやテープ紹介。消臭機能だけでなく、吸水速乾機能、クッション性も持たせ商品は特許を出願済み。開発途中のRFIDタグも実演で紹介した。雑貨を扱う部署からは消臭糸を使った日本製のストールも出品した。

【新道良質〈上海〉貿易/「SIC」に重点】

 SHINDOの現地法人、新道良質〈上海〉貿易は世界市場で活躍する「SIC」ブランドを重点的に訴求。合わせて中国生産商品などもそろえた。

 流行のストライプの柄やアンティークな光沢感ある商品を容易。堀健一高級経理は「最近は男性向け商品でもテープなどの使用が多いことからメンス向けにも提案する」と話す。

【広撚/中国で可能性探る】

 広撚は今回が初出展。テキスタイル貿易部第一課の木下和彦氏は「欧米には強いが、中国も見逃せない市場。可能性を探りたい」と話す。

 ストレッチ素材や中国での傾向を意識した麻調のポリエステル薄地織物などを紹介。PTT繊維「ソロテックス」使いのコート地なども好評で初日にすでにピックアップもあったという。

【福井山本/コネクション増やす】

 福井山本は中国で独自に展示会へ出展するのは今回が初めて。営業第一部第二課の田代修氏は「まずはコネクションをどれだけ増やせるかを主体に考えたい」と話す。

 従来は商社経由などで輸出していたが、直接の商売を目指す。北陸製の合繊使いの裏地から婦人アウター素材までそろえた。なかでも、先染めのアウター素材は同産地でも珍しいという。

【浙江嘉興露香紡織/最終製品を意識】

 ルシアンの現地法人、浙江嘉興露香紡織は日本企画のアウター向けレースを訴求した。製品を意識した提案が好評で、写真を撮らせてほしいという声も多いという。

 川崎治営業部長は「初日は来場者に縫製工場や貿易会社が多い」としたうえで、「初日から具体的な商談の話も来ている」と手応えを感じている。

【村田機械/認知度向上狙う】

 村田機械は今回が初出展。渦流精紡機「ボルテックス」によるボルテックス糸をアピール。繊維機械事業部の亀永英行営業部第2チーム韓国/VORTEX特販チーム係長は「機械を売るだけでなく、その先の認知度を高めていきたい」と出展の狙いを説明する。生地や製品などをそろえ、ボルテックスを導入しているパートナー企業も紹介する。