三一紡織/PE100%で機能糸/「ボルテックス」を活用

2012年09月19日 (水曜日)

 韓国の大手紡績である三一紡織は、村田機械の特殊渦流精紡機「ボルテックス」を活用したポリエステル100%紡績糸「ポレクシル」のバリエーションを拡大した。機能原綿を使用することでボルテックスの特徴である抗ピリング性と吸水拡散性に優れたポリエステル紡績糸が可能になった。19日から仏パリで開催される国際ヤーン展示会「エクスポフィル」にも出展し、まずは欧米市場への提案を進める。

 ボルテックス紡績糸は従来、レーヨン紡績を中心に抗ピリング性と吸水拡散性、独特のハリコシ感などから世界的に高い評価を受けてきた。三一紡織もレンチングの精製セルロース繊維「テンセル」やHWMレーヨン「モダール」をボルテックスで紡績した糸「エコシル」で名高い。

 一方、ポリエステル100%紡績は、油剤との兼ね合いから可紡性に課題があり、世界的にニーズがありながらも日本を始めとした紡績先進国の一部紡績企業でしか実用化されていない。三一紡織のポレクシルは、その一つ。油剤メーカーとの連携で、開発に成功したものだ。これを生かし、様々な機能性ポリエステル短繊維を使用した機能糸としてポレクシルシリーズを拡充した。

 同社では現在、レギュラー「ポレクシル」のほか、十字断面わたで吸水速乾性を高めた「ポレクシルフレッシュ」、UVカット機能わた使い「ポレクシルフレッシュ+」、銀抗菌剤練り込みわた使い「ポレクシルクリーン」、三山扁平断面わたと中空わたによる放湿保温機能糸「ポレクシルサーモクール」、ポリエステルと可染ポリプロピレン複合わたで軽量保温性と染色安定性を両立した「ポレクシルウォーム&ライト」、生分解ポリエステル使い「ポレクシルバイオ」、再生ポリエステル使い「ポレクシルエコ」の計8品番を用意する。

 セルロース系紡績糸では日本向けでも実績のある三一紡織だが、同社のイ・ウキョン理事は「日本は紡績糸に関しては天然繊維の方が好まれる市場なので、ポレクシルに関しては、まずは欧米市場への提案を進める」と話す。このため19日からのエクスポフィルにも出展し、ポレクシルを披露する予定だ。「抗ピル性や吸水拡散性に加え、今回実現した様々な機能を生かし、スポーツウエアやスポーティーカジュアルなど幅広い用途に提案する」とイ・ウキョン理事は話す。