活発な商談繰り広げる/インターテキスタイル上海(会場から)

2012年10月24日 (水曜日)

 「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」が25日まで上海新国際博覧センターで開かれている。2日目の24日は初日とは違い秋晴れの好天に恵まれ、多くの人が来場した。日本企業や日系企業の出展者の商談も活発で、人であふれるブースもある。

(上海支局)

東レ/初日から活発な商談

 東レは婦人服素材やスポーツウエア素材、人工皮革などを出展している。昨年に引き続き商談を重視し、昨年より商談スペースを増やした。松谷憲明新流通開拓室主席部員は「初日の商談件数は昨年よりも多く、熱心に見てくれている」という。

 すべて、日本製生地で、トップレベルの素材を用意。値段が高く従来は商談が難しかった人工皮革も今年はきっちりと商談に臨めている。展示会後は出張ベースと中国のグループ会社の協力でフォローしていく。

日清紡績〈上海〉/常州工場の商品紹介

 日清紡績〈上海〉は今年本格稼働した日清紡績〈常州〉で加工した生地を中心に紹介する。形態安定の「アポロコット」やストレッチ素材、先染めのパンツ地、カジュアル素材に形態安定加工でドレスシャツに適応させた生地などを提案している。

 アポロコットではシャツだけなく、パンツやジャケット生地などもそろえた。また、ニットやストレッチ加工を施した生地をシャツ用途に紹介。坂東正弘副総経理は「日本からの来場者が少ないようだが、手応えは悪くない」と話す。

寧波宜陽賓覇紡織品/婦人用途にも広げる

 旭化成せんいグループの寧波宜陽賓覇紡織品はキュプラ繊維「ベンベルグ」の裏地を提案している。前回、副資材館ではなくスーツ地の並ぶゾーンに出展し、効果があったことから今回も同ゾーンに出展。従来の紳士向けに加え、婦人用途の商品も充実させた。

 旭化成せんいの木下昭暁ファイバー・テキスタイル事業部ライニング営業部国内・アジア担当課長は「ストレッチ裏地などを拡充した」と説明する。同社の販売の約8割が紳士向け、2割が婦人。木下課長は「紳士向けは高級ブランドに浸透してきているが、婦人向けもしっかりと増やしたい」考えだ。

村田機械/「ボルテックス」サンプルで訴求

 村田機械はジャパン・パビリオンで唯一、機械メーカーとして出展。ブースでは紡績機ではなく「ボルテックス」糸によるサンプル反で風合いや機能性のバリエーションを見せている。ボルテックスは独自の渦流精紡技法により抗ピリング、高吸水性などの機能を持つほか、近年はショーでファッション性の訴求にも力を入れている。

 ブースではサンプルに興味を持ったバイヤーに、取引先のコンバーターを紹介したりもする。「機械を売り込むのではなく、ボルテックスの認知度を海外市場で高め、指名買いしてもらえるユーザーを増やしていく」(同社)とインターテキスタイル上海出展の狙いを話す。

山梨県絹人繊織物工業組合/「山梨でしかできない」結集

 山梨県絹人繊織物工業組合は5度目の出展。婦人服地を中心に柄行や色の表現など中国市場の好みに合わせた提案を行う。

 角度によって光沢が異なって見える繊細な風合いのタフタ織りなど、見た目も風合いも訴求力は十分。ブースでは富士山に因み「フジヤマ織」の名称を使っている。日中関係悪化で日本ブランドや日本を想起させる名称が敬遠されているが、初日はとくに影響はなかった。

 今春には上海市内で開催された服飾雑貨の展示会にも出展、差別化素材の商況に好感触を得ている。「中国人の嗜好(しこう)に合い、かつ中国では作れない素材」を選りすぐり、市場開拓に向け発信を続ける。

南通帝人/社員も入れないほど

 南通帝人は、10デニールの軽量高密度生地などをクローズド形式のブースで披露している。初日は、同社の予想を大幅に上回るバイヤーが詰め掛けた。

 初日は、新規の顧客との商談を10分以内に抑えないと、アポイントのある顧客に対応できない状況だった。同社社員も、商談要員しかブース内に入れないほどに混雑したという。用意したパンフレットも初日だけで1000部なくなった。2日目も早朝からブースがほぼ満杯状態となっていた。

大津毛織/新開発紡毛を披露

 大津毛織の中国法人、上海龍和大津工貿は、軽くてかさ高感のある紡毛糸「エアヤーン」の進化版として開発した「クラウドウール」を披露した。

 エアヤーンにはナイロンを20~30%混ぜる必要があったが、クラウドウールはウール100%で軽さとかさ高感を実現したもの。糸の特徴を引き出すために、生地の整理加工段階でも特殊な工夫を加えて生地を密度の高いフェルト風にした。織物と編み地の両方をそろえている。

 初日は全招待客100社のうち60社が来訪。そのほとんどが、クラウドウールをピックアップしたという。

東麗酒伊織染〈南通〉/6つの売り場表現

 東麗酒伊織染〈南通〉は、テーストの異なる6つの衣料品売り場をブース内に表現した。同社素材で様々なテーストを表現できることを見せることで、客層を広げるのが狙いだ。

 前回はブース内を外から見えないようにしていたが、今回は客層拡大を狙いバイヤーが自由に入れるブース構成とした。狙い通り初日からバイヤーが押しかけ、身動きしにくくなる状態もあったという。ピックアップした社数は初日だけで200社に達した。

 同社は昨年9月、工場内に「ミニ縫製工場」を設けた。今回展示した製品はこれを活用して作ったものだ。

ルシアン/高級婦人服に照準

 ルシアンは日本本社と現地法人と合同で出展した。高品質・高感度面料を50品番そろえる。とくに注力するのは婦人服向けで、日本の意匠に現地のトレンドやし好性を加味し、付加価値を高める。ブースではサンプルも増やし視覚的に訴求する。コアターゲットは商況に左右されにくいハイゾーン。「要人が夫人同伴で公の場に出席する機会が増えている。この層を狙うアパレルがあれば、企画から製品まで対応できるOEM機能を訴求し、商機を増やしたい」と照準を絞る。