村田機械/紡績糸の新たな可能性を/ポリエス100%糸など紹介

2013年08月23日 (金曜日)

 特殊渦流精紡機「ボルテックス」を製造販売する村田機械は、9月17日から19日にフランス・パリで開催される糸展示会「エキスポフィル」に今年も出展し、ボルテックスで紡績した「ボルテックス」糸の魅力を世界に発信する。今回は、ポリエステル100%紡績糸を多彩に用意し、スポーツ用途などでの紡績糸のメリットを紹介する。

 村田機械はこれまで5年間、エキスポフィルに出展してボルテックス糸の魅力をアパレルやテキスタイルメーカーに紹介することでボルテックス精紡機の市場拡大を進めてきた。リング式精紡機による紡績糸と異なり、ボルテックス糸は独特の糸構造により高い抗ピリング性と吸水速乾性が特徴であり、とくにレーヨン紡績の世界では世界の紡績の間で採用が拡大している。この流れをさらにポリエステル100%糸の分野にまで広げることが今回の目標だ。

 従来、ボルテックスによるポリエステル100%紡績は難しいとされたが、近年では精紡ユニットや油剤の改良によって実用化が進んだ。ポリエステル短繊維をボルテックス精紡機で紡績するメリットは大きい。ポリエステル100%紡績糸の最大の弱点はピリングが発生しやすいことだが、ボルテックス糸は繊維束を特殊渦流で結束する紡績方法のため抗ピリング性が極めて高く、吸水拡散性にも優れる。機能ポリエステル短繊維を使用することで吸汗速乾、抗菌防臭、消臭、UVカットなど様々な機能糸を作ることが可能だ。こうした特性を生かし、スポーツ用途などでボルテックス糸を採用するメリットを紹介する。レギュラーポリエステルとカチオン可染ポリエステルを混紡することで実現するメランジ糸なども重点的にアピールする。

 現在、ボルテックス精紡機を導入していることを村田機械が正式に公表しているパートナー企業は129社あるが、そのほとんどがレーヨン紡績に使用しており、ポリエステル100%やメランジ糸の紡績での採用は少ない。それだけにエキスポフィルでボルテックス精紡機による新しい可能性を見せることで、市場開拓を進める考えだ。

 エキスポフィルでは、ボステックス糸とそれを使ったテキスタイル、ガーメントサンプル約30種類を紹介すると同時に、パートナー企業129社を記載したリストも配布し、ボルテックス糸に関心を持つアパレルなどにパートナー企業を紹介する。

 また、9月11日から13日までオーストリア・ドルンビルで開催される第52回国際化繊会議にもレンチングとともに参加し、ボルテックス精紡機に関するレクチャーを行う予定だ。