トンボ/精巧なアイデア商品充実/「いい服の日」イベント

2015年12月01日 (火曜日)

 学生服製造大手のトンボ(岡山市北区)は11月28日、玉野本社工場(岡山県玉野市)で「いい服の日」セレモニーを開いた。同社首脳や同工場の従業員、学校関係者など約360人が参加。標語やアイデア提案の優秀作品を披露、情景が浮かぶ標語や、思わず目を見張るアイデア商品の紹介で会場は沸き立った。

 いい服の日は「11月29日」のごろ合わせで制定し、2007年から進めるブランディング活動の一環。イベントを10年から開き、6回目となる。今回は29日が日曜だったことから1日前倒し、28日に開かれた。

 商品のアイデア提案への応募は一般が244件、社内が107件、学校が12校から443点の計794点(前回は412点)、標語は社内のみで790句(前回625句)と前回よりも応募点数が大幅に増えた。学校から函館大妻高校(北海道)や栃木県立宇都宮白楊高校、岡山県立倉敷工業高校、同興陽高校、同岡山南高校の教諭や生徒などが参加した。

 標語については「試着室もう着れたかい?と待てぬ母」「運動会服も勝負もVICTORY(ビクトリー)」など4作品が最優秀賞に選ばれた。

 アイデア提案では、フロアショーとして優秀賞や入選の作品7点を披露した。昇華転写プリントを利用したものでは、通常テープを縫い付けるセーラー服の襟のラインや、透け防止・ファッション性を高めたベスト柄をプリントしたシャツなど、すぐに商品化できそうなアイデアが充実。ボタンのかけ違いを減らす「盲学校向けボタン仕様」の制服や、麻痺した手を固定できる「ベルト付きリハビリウエア」などを紹介した。

 優秀賞に選ばれたハンカチを持つのが楽しくなるような「幼児向けハンカチ付き服」を考案した、倉敷工業高校の大神千芳さんは、「想像したものがちゃんとできていてうれしい。これからもモノ作りを楽しみたい」と喜びを表した。

 トンボの近藤知之社長は、今回のアイデア提案に対し「精巧にできた商品が多く、すぐにでも使えるアイデアが多かった」と称賛。来年創業140周年を迎えるに当たって「次世代により良い商品を提案していこうという趣旨に賛同してもらい、こんなに応募が集まり、大変うれしく思う」と話すとともに、学校へも取り組みを広め、優秀賞や入選を「目標の一つとして励みにしてもらえたら」と述べた。

〈美咲工場に昇華プリント設備〉

 トンボは、スクールスポーツ衣料生産の美咲工場(岡山県美咲町)に昇華転写プリントの設備を導入し、原反のCAMによる裁断からプリント、縫製までの一貫生産ができる体制を整えた。今月から本格的な生産を始める。

 昇華転写プリントは発色性が優れ、高いデザイン性から需要が高まりつつあり、同社でもスポーツウエアを中心に活用が増えていた。これまで協力工場で生産していたが、自社で設備を持つことで、新しい商品開発や生産量の拡大につなげる。