学生服アパレルスクールスポーツ/生徒の「着たい」に応える/デザイン性高め、市場掘り起こす

2015年12月15日 (火曜日)

 スクールスポーツウエアの2016年入学商戦は、15年に比べ新規採用校の獲得に手応えを感じる企業が多い。しかし、生徒数の減少がどれほど影響するか、いまだ未知数であり、需要を喚起する新たな仕掛けが求められてくる。

 学生服アパレルは16年の入学商戦について「都市部を中心に、生徒数の大きい学校での採用が増えている」(菅公学生服の若松伸雄第一営業本部長)、「15年とほぼ同等の獲得校数で推移しているが、生徒数の多い学校が獲得できている」(トンボの佐伯均執行役員)、「前年に比べ、採用に向けた動きが早く、サンプルの貸し出し依頼が増えた」(明石スクールユニフォームカンパニー=明石SUCの宮﨑将人スクールスポーツ部長)と堅調な推移を見せる。

 ただ、既存校の生徒減の影響がどれだけ出てくるか読めていないため、「昨年も今年と同じような形で推移していたことを考えれば、まだ安心はできない」といった声も聞かれ、採用校の刈り取りが続く年内は楽観視できない。

 市場では、依然としてスポーツブランドの動きが力強く、トンボは「ヨネックス」で約100校の採用校の獲得があり、累計では約700校になる見通し。明石SUCも「デサント」の採用校が100校に届きそうで、累計で約1300校になる。

 瀧本は伊スポーツブランド「Lotto(ロット)」が前年度で累計100校の採用を達成し現在、前年比10%増の120校弱で推移する。

 商品的に、これまで機能性を強化する傾向が強かったが、デザイン性に力を入れ、新たなニーズの掘り起こしも加速する。明石SUCは16年の入学商戦に向け、デサントで「エクストラモデル」を投入、「一線を画す飽きの来ないデザインや機能性が評価され、採用がよく決まっている」(宮﨑スクールスポーツ部長)と言う。

 トンボは美咲工場に発色性が優れ、高いデザイン性から需要拡大が見込まれる昇華転写プリントの設備を導入。ヨネックスと自社ブランド「ビクトリー」双方で「今後の商品開発に生かす」(佐伯執行役員)。

 菅公学生服も「デザインを磨き、ブランド価値を高める」(若松第一営業本部長)と、11月から今月にかけて開かれた展示会で、主力の「カンコー」はエッジの利いたデザインやシルクスクリーンプリントなど、スタイリッシュなウエアを充実した。さらに参考出品としてスタイリストの意見を取り込み、着こなしについても提案するなど、生徒自身の意識を変えることで「着たい」と思えるウエアを発信。新たな試みは今後注目されそうだ。

 児島はスポーツブランドを展開しておらず、自社ブランドに特化しているが、スクールスポーツ事業の12月期の売り上げは前期並みで推移する。「メーカーなので、販売店が学校や保護者に対して説明しやすい商品を作っていることが重要」(山本真大取締役)と言う。生産のほとんどが国内外とも自社工場であることを生かし、細かい要望に応えることで新たなニーズをつかむ。