東洋紡/高強力ポリエチ増強/商標変更し海外本格化

2016年01月28日 (木曜日)

 東洋紡は27日、高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」(年産3200トン)の新商品開発に伴う設備改造と、同じ高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」(500トン)の倍増設を発表した。設備投資額は20億円。これによりPBO繊維「ザイロン」を含めたスーパー繊維事業の2017年度売上高で現状比20%増を目指す。さらにダイニーマの商標を「イザナス」へ今年4月に変更し、海外販売を本格化することも明らかにした。

 ダイニーマから商標変更するイザナスでは、オランダ・DSMとの製造合弁である日本ダイニーマの生産設備(東洋紡の敦賀事業所内)4系列中、1系列に新技術を導入。既存の高強度タイプに比べ、さらに強度を20~30%高め(40~45センチニュートン/デシテックス)、耐摩耗性も向上した新製品を17年4月から本格販売する。生産能力は変わらない。

 紡糸・延伸後の冷却部分を改造し単糸強度を安定させることで、マルチフィラメントでの強度を高めたという。価格は既存の高強度タイプに比べて2~3割高の予定。

 今後、新タイプを武器に、世界で約40%を占める釣り糸用のシェアを70%に引き上げるほか、需要が拡大する大型タンカー用ホーサー(係留索)はじめロープ、ネット向けも拡大する。

 さらに、イザナスへの商標変更も行い、海外販売を本格化する。これまでダイニーマはDSMと住み分ける形で、釣り糸、ロープを中心に国内販売が大半だったが、成長が見込める海外市場を積極的に取り込む。将来的には海外生産も想定するが、「DSMとの共同体制に変わりはない。新タイプもDSMを通じて販売する可能性はある」(飯塚康広執行役員スーパー繊維事業総括部担当兼AC事業総括部長)。

 一方、ツヌーガは耐切創用手袋向けの需要増に対応し、生産能力を倍増の年産1000トンに拡大する。敦賀事業所に新系列を増設し、17年4月から生産を開始、耐切創用手袋向けで「世界ナンバーワンシェアを目指す」(藤井俊哉スーパー繊維事業総括部長)考え。

 東洋紡は1991年にダイニーマ、08年にはツヌーガを事業化したが、ダイニーマ(DSMが海外で商標登録、東洋紡は日本のみ)をイザナスに商標変更し、海外戦略を具体化することで新たなステージに入る。