首脳インタビュー/2016年戦略と課題

2016年01月29日 (金曜日)

〈アプロンワールド/求められるウエアを/社長 矢澤 真徳 氏〉

 前期(12月決算)の売上げはほぼ横ばい。メディカルウエアは堅調で、新ブランド「クラリタ」は“少し先の未来”というコンセプトの商品で、少しずつ認知されている。「アディダス」はグローバルブランドの知名度を強みに実績を伸ばしている。「アンパンマン」のウエアは子供に絶大な人気で、小児科などの採用を期待している。高級ドクターウエア「イサルティ」は大学病院で採用が決まり、高級白衣マーケットが育ってきているという手応えを得た。

 一方、介護ラインは新規に見直す。新規参入は増えているが、メーカーの提案は中途半端な印象。既存のものを寄せ集めるのではなくユーザーに求められるウエアを商品化する必要性を感じる。

 レスポンスのため生産の3割ほどを国内で行っている。高齢化が進んでいるため工場との連携が一層大切だ。

〈チトセ/医療向けカタログを一新/専務 阿部 陽一 氏〉

 2016年1月期は昨対9%増の見通しだ。中小の案件を積み重ねた結果による。飲食・サービスはこなれた価格帯のシャツを中心に売れており、工場白衣、メディカル、エステ向けも堅調だった。16年の新企画としてメディカルウエア「ユナイト」をPBとして打ち出していく。

 アイテムは女性を重点ターゲットに、カタログでは有名モデルやスタイリストに登場してもらいイメージを一新した。後発の当社だが「面白そう」と興味を持ってもらえればという試み。

 飲食サービスでは有名店と共同で企画したウエアを定番化した。高級店のユニフォームはホテルのようなフォーマルスタイルが増えており、現場の声を生かした。

 商品数が増えると安定供給が課題となる。品切れを起こさないよう営業と生産のバランス調整に努めていく。

〈住商モンブラン/売上高150億円目標に/社長 長尾 孝彦 氏〉

 2020年は東京五輪開催の年だが、当社にとって創業70周年の節目の年でもある。その時期をめどに売上高150億円超を目標としている。サービスユニフォームの需要は五輪に向けて今後、拡大するだろう。達成できる数字だ。16年5月期は売上高が前期比7%増の105億円、経常利益は前年並みの9億円を見込む。15年6~12月までは主力の衛生白衣が前年同期比2けた%増の好調、飲食店での給仕服は全国の小規模店舗などで地道にシェアを広げており5~7%増で推移している。医療・介護分野は毎年、新規参入があり、乱戦模様だがなんとか微増収となりそうだ。昨年投入したブランド「ローラアシュレイ」などでシェアを拡大する。地域別では東日本で伸びが大きい。

 また7月頃に東京支社を移転・拡張する。課題は製造コストの上昇で、増収でも利益は前年と変わらない状況。

〈ボストン商会/多様化市場に「創造と提案」/社長 米澤 博 氏〉

 最近の傾向として、これまで実績のないサービス産業にも納入が広がりつつある。ホテルは国内レジャー需要とインバウンド効果で2020年まで利用者増が見込まれ、業界は競争で制服への意識も高まっている。アミューズメント向けは経営規模の大型化、多店舗化のなか、ホテルのような正装感、高級感のある服装への要望が出ており、当社には商機。16年以降も、創造と提案で臨む。

 2月4日、5日に東京国際フォーラム7階Gラウンジガラスホール(東京都千代田区)で総合展示会を開く。「多様化する市場ニーズを満たす」をコンセプトに、「ボンユニ」はじめ各ブランドの新商品から、働く女性を支援するテーマカラーとイージーケア機能を融合させたシャツアイテムをメーンに提案していく。

 豊富なラインアップから、ユーザーに「ふさわしい1着」を見つけてほしい。

〈トンボ/選択肢広げシェア拡大へ/執行役員 ヘルスケア事業本部長 福井 正人 氏〉

 上期(2015年7~12月)は、介護施設など1件当たりの納入金額は減っているものの、首都圏を中心に小口の需要が活発で、売上高は前年同期比10%増で推移した。大阪にも近畿、東海エリアの営業をカバーする専任者を置き、大型の施設が多い大都市部での市場開拓を強めている。

 介護ウエアのブランとしては主力の「キラク」と、シックなテーストの「ケアリュクス」に加え、昨年から料理研究家として知名度が高い栗原はるみ氏とのコラボ企画「栗原はるみ」ブランドを展開している。各ブランドでは商品的に独自商性の高いものが充実しつつあり、ユーザーの選択肢の幅を広げることで、新規取引先の開拓につなげる。

 下期以降も2けた%の増収を維持しながら、通期の目標に掲げる売上高20億円の達成に全力を尽くしたい。

〈ガードナー/ニッチ分野を攻勢/社長 渡邊 英治 氏〉

 前期(12月決算)は7%ほどの増収を見込める結果となった。主力商品の防塵服は製薬、食品向けに安全・安心面への提案が実を結んだ。半導体でも久々の採用があり、ほかリネンサプライヤーとの協業も奏功した。

 食品向けは急にマーケットが広がったわけではないが、「フード・ディフェンス」で企業が対策を強化する流れで受注が増え、ポケットを無くす仕様やICタグによる管理への要望も出ている。一方でデザインのスリム化や通気性など、着用者に配慮した需要もある。管理を強化するばかりでなく労働環境の改善の一環としてユニフォームが見直されているようだ。

 今年は創業30周年。営業強化として本社と東京支店の営業部門を統合する。名古屋も重点エリア。物流費や発注ロットの見直し、生産の効率化に努めながら防塵服というニッチ分野で強みを発揮する。