トンボ・ヘルスケア事業本部/今期は8%の増収推移/ニッチな領域広げる

2016年06月27日 (月曜日)

 トンボ(岡山市)のヘルスケア事業本部は今期(6月期)、「キラク」ブランドの患者衣などコンフォートウエアの販売が拡大したことで、前期比8%の増収で推移しそうだ。来期は薬剤師専用ウエア「ウィキュア」や、検診衣など、「ニッチな領域をより広げる」(福井正人執行役員ヘルスケア事業本部長)ことで、引き続き増収を目指す。

 今期は患者衣や室内衣といったコンフォートウエアが、とくに洗濯レンタル業者向けに販売が拡大した。近年、病院や介護施設などへレンタルでウエアを提供するビジネスが広がっており、ウエアを供給する競合他社が増えている。そのようななかで、学生服アパレルとして培ってきた技術力を生かし、「工業洗濯への耐性があって、品質面での事故が少なく、商品に対する安心感があることが評価された」(福井執行役員)ことで、売り上げを伸ばした。

 介護ウエアも、昨年介護報酬が引き下げられ、販売への影響が懸念されたが、「物件数は前年と比べても悪くない」状況。主力のキラクに加え、一格上をイメージしたシックなテーストの「ケアリュクス」、新ブランドの「栗原はるみ」といった多ブランド化によって「商品の選択肢が増えた」ことが販売増につながった。

 昨年、打ち出した薬局衣ウィキュアは医薬品ルートを通じて販売が軌道に乗ってきた。コートやチュニック、ケーシーなどそろえ、価格帯はコートで1万円前後と決して安くはないが、「おしゃれに着用したいというニーズに応えることができる」ことから、販売が広がりつつある。

 来期は売上高21億円を想定。6月から東京販売課の人員を1人増の5人体制として、首都圏への販売を強化する。介護報酬が上がらず、ユニフォームの動きが鈍くなる可能性があるが、好調な販売のコンフォートウエアなど「強いところで勝負する」方針だ。

 介護ウエアでは栗原はるみのアイテム数の充実など、ニーズにより応えることで市場開拓を加速。さらに薬局衣ウィキュアをはじめ、理学・作業療法士ウエアやスクラブ、検診用ウエアなど、他社があまり手掛けていない分野を中心に「市場を掘り下げ、他社と違う視点を持ちながら、個性のある商品を広げる」ことで増収を確保する。