トンボ・美咲工場/昇華転写システム公開/製品への採用を積極化

2016年11月18日 (金曜日)

 学生服メーカーのトンボ(岡山市)は15日、同社のニット製品の主力工場となる美咲工場(岡山県美咲町)で、2015年12月に完成した昇華転写プリントの一貫加工ラインを公開した。

 昇華転写プリントはグラデーションなど精細な柄表現ができ、摩擦などへの耐久性も高い。現状、ポリエステル使いの生地にしかプリントできないが、素材の風合いも損なわず、学販体育衣料には最適な手法だとしている。

 これまで、生地の切り返しやパイピングなどを用いていたデザイン部分をプリント表現で置き換えるなど、デザイン提案幅の拡大に加え、部品点数も削減できる。各種デジタル技術を組み合わせることで小ロット対応力向上にもつながる。

 学販体育衣料に昇華転写プリントを用いるケースは珍しく、同社では差別化の重要なポイントとして位置付ける。現在、「ヨネックス」ブランドと一部の「ビクトリー」ブランドの学販体育衣料を中心に取り入れる。ヨネックスの16春夏企画では、部分採用も含めて半数近くに取り入れ、製品の訴求力も向上した。現在、トンボは学販体育衣料の市場シェアを8%前後とみており、転写プリント企画によって、市場シェアを10%程度まで拡大させる目標を示す。

 現在の加工量は部品も含めた総数で日産2000点ほどになる。プリンター3台、転写プレス機1台、検反機1台、裁断機2台(ライン兼用)を導入、美咲工場での一貫対応ができる。今後の加工量の増大を見込み、数年のうちにプリンターを7台まで、その他付帯設備も増強する計画だという。