特集 17春夏 オフィス&サービスウエア(2)/~首脳インタビュー~2017年展望

2017年01月31日 (火曜日)

〈サンペックスイスト 社長 宮野 尚 氏/業界の変化を実感〉

 今期は増収増益の見通し。ただし大きな案件や派手な動きはなく、特に秋冬商品は2016年9月、10月が落ち込み、11月がかつてないほど好調となった。ワーキングウエアでも同じような現象があったと聞く。明確な理由は分からないが業界が徐々に変化していると感じる。

 これまでのところ好調なのは「究極の事務服」を打ち出したオフィス、食品白衣、別注。別注は間口を狭めているが成約案件は減っていない。アミューズメントは大きくは伸びないが、アパレルメーカーの数が限られており、自社のポジションをしっかり守っていきたい。メディカルは16年7月に新カタログを発刊、クリニックやパーソナルユース向けに訴求しようやく手ごたえが出てきた。17年は現役看護師にアドバイザーになってもらい商品開発に生かす。

〈ハネクトーン早川 社長 早川 智久 氏/17、18年は勝負の年〉

 2016年には大きな伸びはなかったがJAや小規模なショールーム、商業施設などの案件が続いた。ワンピースにニット系が売れている。景気の良さは実感できないとはいえ市場の雰囲気は悪くない。

 「カウンタービズ」の顧客開拓のため2年前に美容業界向けの展示会に出展、引き合いが増えてきた。エステのほか歯科医といった業種を狙っていく。当社製品より低価格なウエアは多いが、素材の良さや品質を丁寧に訴求していきたい。ウエアは黒やネービーなど落ち着いたものを企画しているが、16年はマゼンタなどの新色が好評だった。特徴的なものにニーズがあるようだ。17春夏新商品にもピンクを取り入れるなど印象を刷新している。17年、18年は勝負の年と捉え、取引先と連携し新しい顧客を取り込んでいく。

〈カーシーカシマ 常務 増田 庸佑 氏/モチベーション高める服を〉

 前期(2016年7月期)は定番が伸び悩み別注でもったが、今期は逆転し定番が好調。オフィスの「エンジョイ」、接客向け「エンジョイノワール」がけん引している。クリーンスタッフ向けの「キャリーン」、ケア用「ハートグリーン」は横ばいだった。

 施設の雰囲気と調和したデザインを企画してきたが、訪日外国人が増えたためか視認性の高い服に需要が出てきている。プリント技術やエプロンなどのアイテムを活用し「分かりやすい」ウエアを、またミドルレンジの商品を拡充して「売りやすい、買いやすい」を心掛けたい。差別化のため、認知度の高い企業とのコラボも必要と考えている。

 環境とニーズが刻々と変わっているのを実感する。働くモチベーションを高めるため何ができるかを常に考え、決断していく。

〈アイトス 社長 伊藤 崇行 氏/総合力強みにシェア拡大〉

 2016年12月期のレディース事務服の売上高は前年比横ばいだった。M&Aにより2年前からオフィス事務服の販売を始めた当社としては、事務服専業メーカーやレディースを主力とするメーカーと大型案件での勝負で勝つことは容易ではない。ただ、当社独自の強みとして作業服、サービス、メディカル・介護など幅広い業種への販路とそれに対応した豊富な品ぞろえがある。この総合力を強みにして事務服のシェアを広げたい。例えば、得意の工場などへ作業服を販売すると同時に、その会社の受付の女子事務員のユニフォームを提案することもできるし、病院でも受付や事務の職場がある。一つの法人・団体でも職場によって多様なユニフォームがあることを考えれば、当社の総合力を背景とすれば、オフィス事務服にはまだまだ拡大の余地がある。

〈ボンマックス 社長 外川 雄一 氏/価格・機能・感度で勝負〉

 今期(2017年1月期)の売上高は過去最高の115億円超の見通し。16年2月~11月末の段階で売上高105億円を達成し、前期の売上高(107億円)超えの目途が立った。

 全ジャンルで堅調に推移、「ボン」と「ボンシェルジュ」は春夏商品がヒット、秋冬も順調に推移した。カジュアルは大型案件と主力商品がけん引。別注は化粧品関係や金融などで採用が決まり、前年比2桁増。「リー」のワークウエアも健闘した。17春夏はオフィスはJAや医療事務といった業種に提案を強化、サービスではリーの拡充、エプロンも強化アイテム。盛夏向けの新素材を対応した新商品も発売予定。価格・機能・感度(ブランド)で当社のポジションを明確にして勝負する。円安が急激に進み、影響が懸念される。いかにコストを抑えるかが課題だ。

〈セロリー 社長 太宰 幹夫 氏/新たなアイテム創造〉

 2016年11月期は、売上高が前期比7%増の46億円強と増収だった。3年前に打ち出したニットのオフィスウエアの販売数量が累計で60万点を超え、売れ筋の商品の供給が途切れず増収に寄与し、販売力、企画力、生産力のバランスをうまく取ることができた。

 今期は微増収を想定するが、節目となる50期目に当たる18年11月期には50億円の売上高を計画している。新たにサンプル出荷を中心とした物流センターを埼玉県に設け、在京企業と同様に即日出荷できるようにすることで競争力を高める。さらにコーポレートアイデンティティーのロゴ「セロリーの花」を作成し、認知を広げる。

 20年には東京五輪が開かれる。かつての五輪では、カラフルなユニフォームなどが登場し、業界そのものを変えたことから、新アイテムの創造にも取り組みたい。

〈フォーク 社長 小谷野 淳 氏/価値生み出すビジネスを〉

 今期(2017年1月期決算)は微増の見通し。五輪による需要浮揚は期待ほどではなく、オフィスウエアは伸びないが、メディカルウエアは健闘中で、スクラブがけん引している。さまざまな商品が流通し、現場では既存の白衣に古さを感じる変化も起こっているようだ。

 女性用ビジネスユニフォームのドレスコードは変化しているが、いかに着心地をよくするかは不変の課題。社内にプロジェクトチームを組み当社の強みと今後の方向性を見直している。

 製品単体での差別化は難しくなっているが、供給力には評価を頂いている。将来あるべき姿として利便性がさらに高い、自販機のようなディストリビューターをイメージしている。価値を生み出すビジネス目指し自分と幹部を追い上げていく。

〈チクマ アルファピア事業部長兼東京販売部長 岩崎 敦史 氏/着やすさ前面に〉

 前期(2016年11月期)は前半は1割ほどの増収で推移したが9月、10月が悪く、ほぼ前期並みの業績となった。モデルチェンジが春先に集中しており、上半期偏重の傾向が強まっている。今年は新年度に向けた引き合いはオフィス、サービスともある程度の伸びを予測しているが、ユーザーの購入の仕方も変わってきておりギリギリまで分からないのが実情。代理店が提案しやすく、需要を引き寄せられるような商品が必要。

 17春夏、最も分母が大きい「アルファピア」では着やすさを前面に出していく。サービス向け「ユーファクトリー」は、和のテーストなどリピーターを飽きさせない工夫を織り込む。男女ペアの「フェローズ」はホテル、交通のほか葬祭向けが増えており、拡大したい。20年に向けエコの面も訴求していく。

〈ジョア 社長 神馬 敏和 氏/メーカーとしての役割考える〉

 2016年12月期の売上高は、前期比3%増の12億5000万円強と増収だった。上半期は主力のオーバーブラウスの販売が落ち込むなど苦戦したものの、下半期は戦略の立て直しや、タカラトミーの「リカちゃん」を使ったプロモーションが販売促進に貢献した。

 今期は売上高13億7500万円を計画する。引き続き、リカちゃんを活用したプロモーションを継続するとともに、商品企画の面で、視野を広げて開発できるようにするため、「商品開発グループ」を新設し、企画力を高める。マーケティングも強化しながら、専門的に特化していくことで、市場のニーズにより沿った商品開発を進める。

 20年12月期には売上高20億円を想定している。改めて女性制服メーカーとしての役割を考え、増収増益を継続できる事業基盤を作っていきたい。

〈神馬本店 社長 神馬 真一郎 氏/「美形パンツ」普及させる〉

 本年度の上半期(2016年7~12月)は、オフィス用途での既製品を中心に小口受注が多く、受注を積み重ねた。16秋冬から着やすく美しいシルエットが魅力の「美形(ミカタ)」シリーズから、初めてとなる「美形パンツ」を投入し、良い反応を得ている。販売はまだまだこれからだが、美形スカートも定着まで時間がかかったことから、しっかり普及させていきたい。

 下半期に向けては、大口の受注が春に集中する傾向があることから、取りこぼしがないように早めに生産を組み立てる。従来よりも早い仕掛けを意識しながら、美形シリーズのボトムアップを図る。サービスや接客業などへも目を向け、着用シーンを鮮明にした分かりやすい商品企画でのプロモーションを継続しながら、市場開拓を進めていく。

〈ツカモトユーエス 常務 西村 隆 氏/実力試される年に〉

 今期(2017年3月期)売上高は、過去最高だった前期と同じ58億円で予測している。マイナス金利の影響もあり期初は慎重に見ていたが、中小の案件が継続した。一方で15年から仕入れルートの見直しや調達コストの削減を進め、さらに不採算な取引条件の改善に努めた結果、利益体質になってきている。

 ユニフォームの需要もさまざまな変化が起きている。当社はオフィスウエアが主力だが、五輪需要の本格化を見込みワーキングや接客サービスも拡大させていきたい。

 世界的に市況は不透明だが、変化に柔軟に対応できる企業は残ることができるだろう。ユニフォーム業界なら企画・製品力、アフターサービスまで総合的な強化が求められる。公平な競争で、本当の実力を試される年になるのでは。

〈ボストン商会 社長 米澤 博 氏/ホスピタリティーを支援〉

 16年秋冬の商況は高い稼働率を維持するホテル業界、重装の売り上げが堅調に推移した。外食市場向けブランドも順調に売り上げを確保しており、ホテル、フードサービス産業の堅調な成長に期待している。

 今回の展示会はカタログ「ボンユニ」単独で行う。新商品は格調ある雰囲気にハイグレード感を加えた。癒しとくつろぎの時間を創造するホテリエにふさわしい装いを、明確なコンセプトと確かなもの作りの技術で提案する。

 レディースは拡充、メンズも提案を進化させる。さらに、デザイン仕様とテキスタイルから選べるパターンオーダーをカタログ展開し、総合的な対応力の強化を図る。日々リノベーションと深化を続けるホスピタリティー産業を、メーカーの立場から一層しっかりとサポートしていきたい。

〈アプロンワールド 社長 矢澤 真徳 氏/サービス市場に追い風〉

 前期(2016年12月期)は前年並みか微増収となる見込みでほぼ予想通り。サービス市場は、消費の伸び悩みや価格要求といった課題もあるが、ホテルなど需要が伸びている業種もあり、全体では追い風。

 海外に進出する飲食サービスが増えている。和食はユネスコの無形文化遺産登録もあり、欧米の都市部では高級店が人気。店の内装、そしてユニフォームにも新しい和の表現が求められる。当社もカタログ「カゼン」でオリジナル柄を取り入れたモダンな印象のシリーズを提案している。

 メディカルはスクラブが人気。首回りが楽なのが支持の理由のようだ。新商品では快適な着心地ときっちりした印象を融合させ提案する。マタニティー向けのウエア、やや値頃感を出したドクターコートもラインアップする。

〈住商モンブラン 社長 長尾 孝彦 氏/売上高150億円へ着実〉

 目標に掲げている創業70周年、東京五輪の2020年での売上高150億円到達に向けて順調に来ている。17年5月期は上半期も前年同期比2億6000万円の増収で推移し、通期では前期比8%増の113億円で着地の見通しだ。

 飲食サービス、食品工場用白衣、メディカル、介護の全分野が満遍なく伸びたが、特に白衣は大企業に加え、中小企業の採用も増え、毎年20%で伸びている。

 今後も最大の需要期の新年度前後の販売に注力し、上振れを狙う。そのための重点施策として圧倒的な在庫力の維持とカタログなど販売ツールの機能充実に取り組む。

 特殊サイズを除いて定番品は最低95%のオーダー翌日即納率で機会損失を防ぐ一方、分野別編集や記事コンテンツの充実など、代理店に喜ばれるカタログの機能・利便性を徹底追求していく。

〈トンボ・ヘルスケア事業本部 執行役員 ヘルスケア事業本部長 福井 正人 氏/細かいニーズを拾う〉

 本年度の上半期(2016年7月~12月)は、介護ウエアの「キラク」ブランドの販売が好調なことで、前年同期比2桁%の増収で推移した。これまで主力のキラクに加え、2013年に「ケアリュクス」と、15年に「栗原はるみ」を相次いで新ブランドを投入し、細かいニーズを拾うことができている。

 他社と差別化した商品群が充実してきたことで、価格帯が高くても採用されるケースが増えてきた。中でも検診着の引き合いが多く、女性専用検診着では価格が他のメーカーに比べ高い設定も、機能や工夫を評価されて販売が伸びた。実体験に基づいて商品開発をしていることが、商品の差別化につながりつつある。

 下半期以降も現状の販売を維持し、目標とする通期の売上高21億円の達成を目指していきたい。

〈チトセ 社長 阿部 陽一 氏/受注増の要因は適正価格〉

 今期(1月決算)は昨対比11%増の見通し。新商品は出遅れたものもあったが定番商品はかなり積み込んだ。当社の商品に“逆指名”を受けることも多かった。来期に向けても大型案件が控えている。ただし秋以降の需要はまだ見えにくい。

 飲食サービス向けはシャツ類の動きが良い。メディカルは白物のパンツ、スクラブにオーダーが集中した。伸びている理由は品質と感性、価格のバランスが適正だと納得してもらえているため。ユーザーはごまかされない。

 新商品では飲食向けにカジュアル商品を拡充するとともに織ネームを刷新した。定番商品に新しさを持たせ、他社製品との違いを知ってもらう試み。品番数、販売数の増加に伴って物流が課題。今年は受注システムの入れ替えを行う。

〈アルトコーポレーション 社長 廣瀬 由武 氏/「東京スタイル」打ち出す〉

 前期(2016年3月期)は減収。市況が厳しかったこともあるが人事異動と組織改編を敢行した結果、16年4月以降の利益は大幅に改善した。上期、定番は前年並み、下期は盛り返している。定番がなかなか伸びない分を別注と新商品で補う形。しっかりした柱を確立したい。商況は決して悪くないが、以前のようなシーズン初めにまとめて購入する形態がなくなった。経済動向が不透明なら買い控えるし、実需に近いと言えるだろう。そうした中で企画と生産が一緒に、数字になる商品の開発に取り組んでいる。

 17春夏は在京のメーカーとして「東京スタイル」を打ち出す。コンプレッションウエアやマルチ機能のニットシャツ、「カジュアルワーキングドットコム」では好調なデニムの幅を増やす。介護で採用が決まるなど展開が楽しみ。

〈ガードナー 社長 渡辺 英治 氏/食の安全強化 商機〉

 食品産業では安全・安心な生産に関心が依然高く、クリーンルームウエアの需要も期待できる。「FSSC22000」は食品安全マネジメントシステムの新しい規格で、ISO、ハセップに続く実践的なシステムとして話題だ。高水準で実践的な安全対策を指向する事業者が増え、ウエアも自洗ではなく専門の業者に任せる形態が増える。衛生管理まで含めた当社のノウハウを提供できる好機と考える。

 2016年は3年間の経営計画の2年目で、当初予定通り達成できている。主力である電子産業向けで半導体工場向けが回復基調、食品産業、製薬向けも堅調だった。

 社内では東京支店での営業強化と通信や物流面でのコスト対策を進めた。17年は大手企業だけでなく中小企業向けの需要も掘り下げていく。