アスレジャー対応 継続/商社の18春夏新素材/綿は品ぞろえ拡充へ

2017年06月13日 (火曜日)

 商社製品OEM/ODM事業の18春夏向け素材提案では、軸となる綿素材の品ぞろえ拡充とともに、アスレジャートレンドの継続や屋外レジャーの多様化を想定した合繊使いのモノ作り、機能付与の打ち出しが傾向となっている。

 綿素材の品ぞろえを強化するのは原料調達で強みを持つ伊藤忠商事と豊島。伊藤忠はハイエンドからボリュームゾーン向けまでブランドをそろえる。頂点素材に高品質綿「ギザプレミアム」を加えた。接触冷感綿「スプーリーアイスコットン」で取り組むスイス紡績スプーリー1866(スプーリー)社との連携を深める形。エジプト超長綿の中でも品質の高い「ギザ45」の再現を目指し、スプーリー社が原綿の選定・ブレンド技術、紡績技術を使って、伊藤忠からの頂点素材開発要望に応じた。

 豊島はSPA・小売業態をはじめとする主力顧客との関係を密接する目的で調達先を広げた。ここ数年で実績を重ねた「カリフォルニアコットン」に続く差別化綿として豪州・クイーンランド州産中長綿を新たに訴求する。

 カリフォルニアコットンに比べ白度に優れ、夾雑物が少ない品質面の優位性を差別化要素に、毛羽が少ないコンパクト紡績のモノ作り、受注集約によるコストメリット創出でTシャツを中心とする春夏定番のデーリーウエアへの採用を狙う。

 一方、機能を備えた衣料への要望が続き「スポーツウエアとファッション衣料の融合は18春夏も進む」との共通認識がある。屋外レジャーの多様化が進むことも後押しし、快適性に貢献する合繊素材開発や機能加工も各社が開発に取り組んだ。

 三菱商事ファッションは独自の機能加工群「ディア」シリーズに新素材「ディアガード」と「ディアケア」を加える。ディアガードは植物(菊)由来の成分を使用した剤による防虫機能加工。虫対策機能へのニーズが高まっているため、幅広い素材への加工適正をアウトドア向け、カジュアルウエアなど幅広い製品向けで提案する。

 ディアケアは「洗濯乾燥時短加工」として展開する。検査機関との協業で自主基準も策定するなど実用性のある機能の開発を進めた。

 伊藤忠は合繊使いでアスレジャー企画に対応する。新素材の「スパーク」はナイロン、ポリエステルの特殊中空糸を北陸でテキスタイル化したもの。レギュラー糸使いに比べ5割程度の軽量性と柔らかく肉厚なタッチが特徴。軽量性を実感できるジャケットやパッカブル企画など布帛アウターへの採用も狙う。

 豊島は綿素材への機能付与で差別化を図る。レギュラー糸と疎水加工糸の複合素材「ムーブドコットン」は、レギュラー綿100%に比べて吸水速乾性を高めたもの。オーガニック超長綿「エルス」の縫製に消臭機能縫製糸を用いる、機能付与による付加価値向上のモノ作り手法を提案している。