豊島/安定的な収益確保を/ITビジネスなどに重点

2017年09月15日 (金曜日)

 豊島は今後の方針として(1)ITビジネスの展開(2)自社ブランドの確立(3)自社開発素材を基点とした商品展開(4)未開拓分野への進出(5)物流コストの削減――に重点的に取り組む。これにより、為替変動や経済状況など外的影響に左右されない安定的・持続的に収益を確保できる体制を確立する考えだ。

 ITビジネスでは今年1月、コーポレート・ベンチャーキャピタルファンドを立ち上げた。国内外のITベンチャー企業に出資し取引先にIT関連の商材を提案するもので「2018年からの本格化になるが、8月の発表後も問い合わせがある」(豊島半七社長)と言う。

 電子商取引(EC)では、自社ブランド「オブレクト」とともに、昨年出資したオーガニックコットンのワンマイルウエアを手掛けるAWA(東京都渋谷区)のオンラインショップなどに力を入れる。

 未開拓領域への進出では「当社のシェアは1%ほど。余地はある」とし、新販路・新顧客の開拓を推進。ネット販売専門アパレルの開拓にも取り組む。

 2018年6月期単体は売上高1800億円、経常利益65億円を見込む。「不安定要素が顕在化している」ため、慎重な計画を組んだ。今期はこれまで前期並みで推移するものの、綿花相場が弱含むほか、糸・織物市況の低調など市況変化を考慮した。

〈営業・経常で過去最高/17年6月期単体〉

 豊島の2017年6月期単体は営業利益と経常利益で過去最高となった。売上高は前期比3・6%増の1860億円、営業利益は6・7%増の60億円、経常利益は15・3%増の72億円、純利益は20・2%増の45億円と好業績だった。経常利益の70億円超えは初めて。

 繊維素材部門は増収で利益横ばいだった。増収は綿花など原料の前期比33%増収が寄与した。原糸は三国間輸出が拡大するも国内市場の不振から13%の減収。生機・加工織物は9%減収ながら適正仕入れと在庫のバランス運営により増益だった。

 繊維製品部門は主力取引先が落ち込んだ影響もあり若干の減収も、自社開発素材による差別化、物流のローコストオペレーションや品質管理強化によるトラブル減少などで製造原価が下がり、増益となった。