商社製品OEM/ODM/コスト低減と合繊複合広がる/18秋冬羊毛素材提案に変化

2017年12月19日 (火曜日)

 18秋冬向け素材提案の中で、ウール系商材の開発品が広がっている。合繊複合による快適素材の比率が高くなっているほか、100%使いでも競争力確保の取り組みが中心となっている。豪毛原料高騰を受けた各社の取り組みを見る。(石川 亮)

 ウールはニットやコート地で秋冬衣料の主軸となる素材だが、足元の相場で豪価換算、米価換算ともに前年同期比で20%高に迫る勢いで豪毛原料が高騰しており、各社の開発・取り組みに影響を与えている。今シーズン販売実績やこれまでの取り組み実績を基盤にして価格を前年同期並みに据え置く調達先との交渉が進む一方、合繊と複合した機能付与も目立つ。軽量性や快適機能へのニーズが根強いことや合繊素材の加工技術が高まっていることで開発が促進されている。

 蝶理MODAは韓国の有力紡毛糸メーカーから調達した素材を原料とする。17・5マイクロメートル級のスーパーファインメリノタイプを得意とし、特殊紡績品も競争力のある価格で調達できるという。ニット製品OEM/ODM全体で18秋冬向けの調達に加えた。

 初秋向け商材などでウール・ポリエステル混紡糸も強みにする。中国合繊メーカーと取り組み、強撚糸によるシャリ感の打ち出しや特殊糸と複合したウオッシャブル、軽量性などの機能を加える。

 豊島は今秋冬向けの販売実績を背景に紡績などとの話し込みで価格を据え置いて競争力を持たせて提案する。同時に機能による快適性付与を強調する開発も来シーズン向けでは特徴。国内関連会社の日本エース(愛知県一宮市)とカシミヤ5%混コート地を開発した。エアリーな仕上げで一般的な目付よりも軽くした。

 国内開発ではウール低混率丸編み素材も宮田毛織工業(同)と開発した。ウール10%混の合繊複合ダウン側地を開発。加工で撥水(はっすい)性を付与した。

 海外にも調達先を求め、英メーカーのマラリウス社のシェットランドウール100%素材に豊島が中国でラミネート加工した。有力アウトドアブランド向けで実績を持つ背景を活用し、防風透湿性を加えた。

 日鉄住金物産も、中・高級品ニット製品向け原料で、伊ゼニアバルファー社から調達する19・5マイクロメートル級エクストラファインメリノの定番高品質素材「キャッシュウール」の価格を、今シーズン向け並みの価格に抑えた。15年以上の取り組み実績を持つという。「来シーズン向けに数十トン使用する」として、10月の価格交渉でまとめた。

 ボリュームゾーン向けでは新素材を非ウールで開発した。アクリル・ナイロン・ポリエステル複合素材「パグ」はストレッチ性と“もちっとした”肉厚感が特徴。ケーブル地で柄の目がくっきりするという。

 三菱商事ファッションはエクストラファインメリノ落ちわたを再利用した素材を展開。一方でウールと中空ポリエステルの複合軽量素材やさまざまなバリエーションで丸編みを開発。快適性の打ち出しに重点を置いた。