紡績のタオル糸販売/今治産地へ差別化強める/新トレンド創出後押し

2018年01月10日 (水曜日)

 国内紡績が今治タオル産地向けの糸の差別化を強めている。綿花の産地で違いを出したり、紡績技術で工夫して従来とは異なる風合いを持たせたり、新たな“今治タオル”ブランドのトレンドの創出を後押しする。

 クラボウは糸の別注対応を強める。香川県丸亀市にある紡績工場の技術力を強みに個々のメーカーのニーズに合った糸作りを提案する。

 テキサス綿100%のタオル専用糸「テキサスホワイト」はこれまで20番手を備蓄販売してきたが、昨年4月から顧客ごとの別注で生産するようにした。番手や撚り係数の異なる糸を顧客の要望に応じて生産する。

 東洋紡STCは、売れ筋のタオル専用糸「金魚」のバリエーションを増やす。従来の綿100%の定番糸「金魚」とアクリル10%混で消臭機能がある「金魚AG」の二つに加えて、オーガニック原綿100%の新たな商材を開発中。今年春ごろに売り出す。

 シキボウは、ギリシャ産長綿を使った綿糸「オリンピアコットン」の販売を強める。2020年の東京五輪に向けて開発し、ギリシャ綿と弾力性の高い綿から成る特殊4層構造糸として打ち出す。昨年後半からギリシャ綿原料のタオル糸は“オリンピアコットン”として統一したブランディングで五輪に絡めた企画へ販売拡大を狙う。

 紡績がタオル糸の差別化を進める背景にはアパレル向け素材よりも需要の伸びが期待できることに加え、“今治タオル”ブランドの全国的な普及とともに、タオルメーカーがより特徴ある商品開発に力を入れていることがある。