商社製品OEM/ODM/“環境配慮”が本格化/ファー、再利用素材に広がり

2018年01月18日 (木曜日)

 商社の18秋冬製品OEM/ODM提案で、持続可能性に貢献する商材の提案が多くなっている。欧米ブランドで先行する取り組みを受けて「日本にも確実に波及してくる」とみられていたものが、来シーズン向けで本格化する兆しを見せる。(石川 亮)

 田村駒は18秋冬展で環境配慮型商材をまとめたブースを設置した。「顧客からの要望が強まっている」ことがその背景。同社で扱う素材を編集した。

 リサイクル、ノンミュールジング、オーガニックの切り口で羊毛素材を打ち出したほか、キュプラ繊維使いは生分解性と生産過程での再生エネルギー使用率を訴求。ファー使いは「フェイク、改めエコファー」とのうたい文句で強調する。既存素材を、持続可能性や追跡可能性などで特徴づけて改めてアピールした。

 「欧米ブランドに比べ、国内の顧客の関心はまだまだ低い」と言われてきた環境配慮型商材の打ち出しが、にわかに活況を帯びる。

 特にファー使いは婦人衣料でのファッショントレンド化を見込んで、打ち出しが鮮明。ポリエステルやアクリル系繊維など合成繊維を使って「エコファー」との表現で強調する動きが目立つ。ヤギはベターゾーン、ボリュームゾーン向けのアウターで部分使いを含めて製品企画提案の軸とする。

 日鉄住金物産は、横編みで追跡可能性を重視したサプライチェーンを提案。スーパーファインメリノ使いの商材で、原毛を産出した牧場を明確にし、汚水処理設備をそろえて認証を得たイタリアの染工場で加工する。ダウンでも、河田フェザーとの取り組みで再生羽毛「グリーンダウン」使いに力を入れる。羽毛布団からダウンを回収し、河田フェザーが自社工場で洗浄した羽毛を活用する企画を提案した。

 布帛製品でも、リサイクル糸を使った先染め織物やデニムを打ち出す。糸はスペインのリサイクル糸メーカーであるリカバー社から調達。糸、生地の裁断くずを回収して色ごとに紡績糸に再生する同社の強みと取り組みを深める。無地や杢(もく)素材に加え、日本で製織した先染め品やトルコのデニムメーカーであるキリム社と取り組んだ素材を提案していく。

 豊島は今後、環境保護に配慮した持続可能性を持つ素材を、特徴別に複数のカテゴリーに分けて展開する。エコファーなど「動物愛護」。羊毛、ダウン、綿、合繊の「再利用素材」や天然染料、非フッ素剤の使用といった「環境に即した生産工程」のほか、「持続可能な生活に配慮した素材」「国産素材」をそろえて付加価値要素にする考え。特に、中国などで関連する環境規制が強化される中、リサイクル糸を活用する動きが広がりつつあり、染色を必要としないこうした原料・素材の活用が浸透していく可能性を指摘する。