東南アジア生産高度化へ/紡績3社の来期戦略/海外市場開拓に備える

2018年02月19日 (月曜日)

 クラボウ、シキボウ、日清紡テキスタイルの3社は2018年度、海外の生産基盤を強化する。ターゲットとする市場は各社ごとに異なるが、課題は東南アジアに展開する生産拠点のレベルアップで共通する。(橋本 学)

 クラボウは18年度、新たなビジネスモデルの構築と生産面の技術革新に着手する。

 新ビジネスとして、熱中症や作業中のリスクを管理するスマートウエア「スマートフィット」を使ったサービスを始める。これまで建設業でのモニター試験を重ねてきたが、4月から同肌着を顧客に納品し、本格的なシステムの運用、情報提供がビジネスとなる。

 生産面では工場の“スマート化”に取り組む。これまでベテランに頼ってきた技術をロボットでの置き換えが可能か精査する。できるものは装置や機械に置き換え、自動化する。難しいものに関しては、動画などでデジタル化して若手に伝承していく。

 国内工場と並行して5年後をめどにタイ、インドネシアでも工場のスマート化に一定の道筋をつける。まずは見える化と省人化に取り組む。海外工場でもこれまでより高い精度で品質・納期を管理できるようにし、より安定した操業を目指す。

 将来的にはインターネットなどの通信技術を使った、国内外の生産現場と営業の現場とを結ぶシステムの構築にも取り組む。

 シキボウは18年度から20年度までの3カ年計画の中で、原糸販売事業の改革を始める。

 インドネシア、ベトナムを中心とした海外生産の高度化による国内外の収益基盤の再構築が柱となる。海外工場の技術のレベルアップに加え、納期や品質管理も精度を上げる。それによって生産品種を増やし、価格だけではない、独自のモノ作りを展開し競争力を高める。

 来期から国内自家工場、インドネシア現地法人のメルテックス、ベトナムの協力工場による生産、グループである新内外綿のタイ現法J.P.ボスコの4拠点の製造・販売での連携を強化する。

 シキボウグループとしての連携をこれまでより強めることで、組織的、戦略的な製造・販売体制にする。各拠点が持つ強みや売り先の市況、為替環境に柔軟に応じた供給体制をつくり、グループ全体の収益拡大を目指す。

 日清紡テキスタイルはインドネシアの製造拠点を活用した対欧米・対中東輸出と同国内での販路開拓に取り組む。

 インドネシアにはシャツ地・シャツ製品で紡織加工から縫製まで一貫生産体制を確立しており、品質と生産性を向上させる。グローバル市場の開拓に向けて、従来の白無地に加え、先染め品や反染めのレベルアップも課題。中国の先染め整理加工子会社、日清紡績〈常州〉とともに日清紡インドネシアでも技術水準を引き上げる。

 これまで投資を続けてきたマラカサリ日清紡デニムインダストリーも業容の拡大を狙う。ジーンズアパレルがコスト対策としてグローバルな素材調達網を構築していることに呼応して、品質の高い商材をこれまでよりもコストメリットを持たせて提案する。