日本紡績協会/中期事業計画を策定/環境や働き方改革に対応

2018年06月08日 (金曜日)

 日本紡績協会の藤田晴哉会長は6日の会見で、今年度から2021年度までの3カ年中期事業計画を発表した。

 中計では海外での会員企業の共通課題の解決に取り組むほか、環境問題、働き方改革、CSRへの対応といった近年の社会の動きに合わせたテーマにも対応する。

 海外の諸問題では、アジアを中心とした繊維貿易の分析に取り組む。環境分野では主要国の規制の状況や、係争事例が増加する知財問題についても情報の収集と発信を強化する。

 人財育成や技術伝承では、技術分野の各専門委員会での研修を充実させるとともに、新たな法制度に対応した「紡績・織布技能審査、評価制度」を運営し人財レベルの底上げを図る。

 働き方改革では会員企業の労働組合から会社に要求として出されている「65歳定年制」への対応や「長時間労働の是正」などが大きな課題となる。少子高齢化の進展と将来的な労働力不足が懸念される中、人財の確保と労働生産性の向上を両立できるように諸問題に対応する。

 需要振興事業としては日本綿業振興会が中心となって新たな施策を進める。18年度からは、従来の一般消費者向けの取り組みとともに、アパレル業界や流通企業など各サプライチェーンの相互交流が図れるようなB2B型の取り組みに力を入れる。海外での展示会などへの出展仲介を通じて、会員企業各社の製品情報の対外的なアピールも支援する。

〈クラボウ藤田社長が会長に「業界の共通課題に全力」/日本紡績協会〉

 日本紡績協会は6日に開いた定期総会で、会長にクラボウの藤田晴哉社長、副会長にユニチカの注連浩行社長を選任した。

 藤田会長は総会で、「会長に就任することに強い責任を感じる」と述べ、「注連副会長ならびに会員の皆さま方のお力添えを頂きながら、紡績業界が抱える共通の課題に全力で取り組んでいく」とあいさつした。

 前会長でダイワボウホールディングスの野上義博社長は、「少子高齢化の進展に伴う労働力不足や社会保障費用の膨張はわが国経済の活力を衰退させることが危惧される」と指摘し、「このような国家存亡に関わるとも言える問題については、官民を挙げて大いに知恵を絞り、克服策を考えていかねばならない」と述べ、新会長にバトンを託した。