クラボウインターナショナル/素材からの一貫提案を加速/サステイナブルも意識

2018年09月25日 (火曜日)

 クラボウインターナショナルの西澤厚彦社長は本年度下半期(2018年10月~19年3月)以降に向け、「素材メーカー系商社の機能を追求する」とし、素材から縫製品までの一貫開発・提案体制を強化するとともに、中長期的な戦略として、サステイナビリティー(持続可能性)やトレーサビリティー(追跡可能性)への対応を強める考えを示す。

 西澤社長によると上半期業績は、前年同期比で増収となるものの、営業利益は減少する。減益は前期が特殊要因で増益になっていたことの反動で、実質的には今上半期も増益という。主力のカジュアル製品OEM/ODMが店頭の低迷を背景に苦戦したものの、クラボウとの素材連携や4月に発足した技術部の活用もあってユニフォームが伸びた。これによりユニフォームの構成比率は15%から20%に上昇。将来的には30%にまで引き上げる。

 下期以降も素材からの開発・提案強化や付加価値化に臨む。西澤社長は現在の市場を、「価格訴求型商品がまん延している」と分析。その結果、商社を介さずアパレルや小売りが海外の工場と直接取引する「直貿」も増えている。価格訴求型商品にはインドネシアの縫製工場アクラベニタマ(AKMガーメント)である程度対応するが、より力を注ぐのは、素材からの付加価値化。4月に技術部を新設して生地染色に精通するスタッフらを配置したのも同戦略の一環で、その効果も徐々に表れる。素材提案などの付加価値化によって直貿機運の流れを食い止め、利益優先で業績拡大を狙う。

 素材からの付加価値化戦略の一環として、海外生地の現地調達にも力を入れる。タイでは紡織のタイクラボウや染色加工のタイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング(TTDF)とのグループ連携を強めている。ほかにも、インドネシアでは東レのセンチュリー・テキスタイル・インダストリー(センテックス)などとの協力関係を深めており、調達生地の付加価値化のほか、納期短縮やコスト低減に努めている。生地生産背景が急速に進むベトナムでも同様に、日系や中国系素材メーカーとの連携を進めていく。

 将来をにらみ、サステイナビリティーやトレーサビリティーへの対応も進める。サステイナビリティーでは国連が提唱する持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」に掲げられている17項目を自社事業にどう落とし込むかを検討し、環境配慮商材などを開発していく。トレーサビリティーでは「素材メーカー系商社であることを安全・安心性につなげて」、直貿機運に対抗する。

 今後の重点方針としてはこの他、インバウンド需要への対応、高機能ユニフォーム素材の開発、輸出拡大などを挙げる。