帝人 鈴木社長/発展戦略投資を具現化/北陸との協業も深める

2019年01月21日 (月曜日)

 帝人の鈴木純社長、武居靖道取締役専務執行役員、帝人フロンティアの日光信二社長は17日、金沢市内のホテルで会見し、「中期経営計画2017―2019『オールウエイズ・エボルビング』」の最終年度となる2019年度(20年3月期)に掲げるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)1200億円超が「視野に入っている。引き続き、既存事業で着実な利益を上げながら、将来にわたって持続可能な成長を担保する新規投資を実施し、企業価値の向上に取り組む」(鈴木社長)考えを改めて強調した。

 さらに25年近傍に掲げるEBITDA2千億円は「発展戦略を具現化し、新規事業を育成しなければ高いハードルになる」として、新規事業の基盤を構築しポートフォリオ変革を「着実に進める」と語った。発展戦略としては17年に米国の自動車部材メーカー、18年にはドイツの自動車内装材メーカーやポルトガルの複合材成形メーカーを買収している。

 一方、北陸産地について鈴木社長は、「繊維産業の集積地として最大であり、県を越えた連携による技術開発など日本屈指の力を持つ。だからこそ、当社も協業を深めていく」と期待感を示した。

 帝人フロンティアによる北陸産地との取引額は18年度、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」やスポーツ・アウトドアウエア向け織・編み物「デルタ」を中心に、275億円と前期比5億円増となる見通しで、19年度は277億円を計画する。

 帝人フロンティアの日光社長は、「素材、製品の開発や新事業領域の構築には北陸産地との連携が不可欠であり、今後も関係を強化する」と強調。さらに原糸、テキスタイルだけでなく、北陸以外も含めた日本の繊維産地と連携し「メード・イン・ジャパンの2次製品でも協業を深めたい」との考えを示した。

 アラミド繊維、炭素繊維などのマテリアル事業を統轄する帝人の武居取締役専務執行役員も、「当社の研究開発と北陸産地の高次加工技術を連携させることで、顧客のソリューションとなる製品やサービスを提供できる」と連携強化に意欲を示した。

〈3Rを世界で共闘/脱プラの動きの中で〉

 帝人の鈴木社長は欧州を中心とした脱プラスチックの動きに対して「エモーショナル。プラスチックが不要であることを世界が望んでいるのかどうかも発信する必要がある」との見方を示した。その上で日本が先行するリサイクル、リユース、リデュースの3Rを「経済活動にいかに取り入れるかという点で、世界が共闘することが産業界として重要になる」と述べた。