クラボウ/タイ核に海外生産統括/ベトナムも生地供給体制整備

2019年02月01日 (金曜日)

 クラボウは、2019年度(20年3月期)にスタートする次期中期経営計画の中で、繊維事業の海外生産・販売に関してタイ子会社のタイ・クラボウに統括機能を持たせる構想を進めている。テキスタイル生産・販売の中心が海外拠点に移る中でタイを核に生産技術の継承や人材育成の役割も担うことを検討する。

 北畠篤代表取締役常務執行役員繊維事業部長は、次期中計のテーマの一つとして海外子会社の機能高度化を挙げる。「当社のテキスタイル生産は既に、国内よりも海外の方が多い。供給先も海外の縫製工場が大半」と指摘。タイ・クラボウに海外でのテキスタイル生産・販売のコントロールタワーの役割を持たせることで、市場により近い場所での商品開発・提案を進める体制を目指す。

 同時にテキスタイル生産の技術継承・人材育成機能もタイ・クラボウなど海外拠点で担うことを構想する。その上で国内工場は「情報通信・デジタル技術を導入してスマート・ファクトリー化する」との考えを示した。こうした構想を次期中計で具体的に検討する。

 生産拠点の拡充にも引き続き取り組む。18年12月にベトナム・ホーチミンに糸・生地販売子会社のクラボウ・ベトナムを設立した。縫製拠点として存在感が増すベトナムでは生地輸入も多いなどテキスタイル需要が旺盛。現地生産・販売でこの需要を取り込むことが狙いとなる。

 ベトナムでは既に、現地紡績で原糸の委託生産を行っているが、新たに織布・染色加工企業とも連携し、加工反の委託生産体制を整備した。今後はベトナムから米国への縫製品輸出に向けた需要に対応するため米国にも拠点を設けることを検討する。

 ベトナムでの生産が難しい生地に関してはタイ・クラボウなど他の生産拠点から供給する。クラボウインターナショナルのベトナム縫製事業への生地供給も可能になる。