ユニチカトレーディング/スポーツ苦戦に歯止め/「パルパー」「ユニエコロ」も打ち出す

2019年02月12日 (火曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)は2019年度、インドネシアでの生産をリンクさせた取り組みを強化しスポーツ素材の苦戦に歯止めをかけるとともに、複重層糸「パルパー」シリーズによる新用途開拓、再生ポリエステル「ユニエコロ」の拡販などによって業績の反転を目指す。

 同社によると、暖冬の影響で昨年12月ごろから国内市場の厳しさが増している。その影響でスポーツやレディース、カジュアル向けの販売が苦戦を続けていると言う。ユニフォーム向けの販売が勢いを維持しているため、18年度は衣料繊維トータルでほぼ前年並みの業績を維持できるとみる。

 産業資材にも大きな落ち込みが見られないものの、デニム輸出を主力に展開するグローバル事業が苦戦に転じているため、UTC全体の業績は前年を多少、下回るとみている。

 同社は17年度から19年度までの中期計画と取り組んでおり、最終19年度は海外生産の拡大でスポーツビジネスの後退に歯止めをかけるとともに、エコ素材の本格販売、パルパーの販路拡大に力を入れ、業績改善を目指す。

 18年度は北陸産地のスペースタイトによる機会損失の発生でスポーツビジネスが苦戦したため今後、北陸では期近対応品の生産を優先させ、インドネシアに量産品や準差別化品の生産を移管し、日系アパレルの海外縫製に供給する商流構築を急ぐ。

 ポリエステルのニットや高密度織物を協力工場で生産するための準備を進めており、「19年度のスタートとともに量産に着手」し、初年度で少なくとも50万㍍を販売したい考えを持つ。

 製品OEMの拡大も重視する。ベトナムのハノイに縫製の協力工場を確保。17年の秋にはホーチミンで技術開発拠点を立ち上げた。ここからの技術指導でテキスタイルの新素材開発と取り組み、縫製一貫のオペレーションで製品OEM拡大を狙う。

 パルパーでは、メーカーズシャツ鎌倉に供給する「プレミアムパルパー」の販売が順調で、今後はパルパーシリーズを婦人ファッションへも広げる。

 和歌山や播州の染色加工場で新しい質感を持たせたパルパーの開発と取り組んでいるほか、京都の染工場とも連携し、ウール混、シルク混のラインアップを増強する。

 国内でもエコ素材へのニーズが高まっていることに対応し、ケミカルリサイクルやペットボトル再生によるユニエコロの販促を本格化する。

 マイクロファイバータイプ、2成分系異型断面糸、クーリング素材「サラクール」などで商品ラインの拡充を進め、20春夏からの本格販売を目指す。婦人服地としての販売にも意欲を示している。