合繊メーカー 4~12月期決算/散見される前年割れ、通期下方修正も/原燃料高騰、中国減速が影響

2019年02月18日 (月曜日)

 合繊メーカーの2018年4~12月期決算が出そろった。原燃料高騰によるコストアップや米中貿易摩擦、中国経済減速の影響などで18年4~9月期とは様相が一変しており、前年割れの計上が目立つ決算となった。

 東レは原燃料高騰などの影響で営業利益が110億円減少。繊維事業では、本体、国内、海外でともに増収を確保した。炭素繊維複合材料は原料の高騰、競合激化の影響だけでなく、海外子会社立ち上げに伴う費用の増加で営業大幅減益となった。

 旭化成は売上高、営業・経常利益で過去最高を更新。繊維事業では、人工皮革「ラムース」やキュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」などが好調で2桁%の増収営業増益を確保した。

 帝人も原燃料高騰の影響などで営業減益。アラミド繊維は堅調だったが、炭素繊維は北米で新工場を立ち上げた際の費用増加で減益となった。繊維・製品では、テキスタイル、製品をともに伸ばしたものの、原料価格や人件費の上昇で減益にとどまった。

 東洋紡は敦賀事業所第二で発生した火災事故を受けて120億円の特損を計上したことが響き、純損失を計上。産業マテリアル事業で増収を確保したものの、火災や原料価格変動の影響で営業利益を減らした。繊維・商事では営業損失を3100万円に圧縮。通期黒字浮上を見込んでいる。

 ユニチカは衣料繊維で苦戦を強いられ、営業損益が前期の黒字(8億3600万円)から赤字に。高分子に含まれるスパンボンド、スパンレースは堅調に推移した。

 世界経済の先行きに不透明感が強まっている現状を踏まえ、18年度通期業績を見直す機運が高まっており、旭化成は売上高以降の4項目を、帝人も4項目を、東洋紡は営業・経常利益をそれぞれ下方修正。クラレは12日に4項目を下方修正して後、13日に18年12月期決算を発表した。