TPL、TJT/成長戦略を実行/次の増産 具体的に検討

2019年02月28日 (木曜日)

 【バンコク=宇治光洋】帝人グループのポリエステル長・短繊維製造タイ子会社であるテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)とテイジン〈タイランド〉(TJT)は、4月に始まる2019年度の重点戦略として、これまで実行してきた構造改革の成果を発揮しながら、次の増産に向けた施策の具体的な検討に取り組む。

 TPL、TJTともに18年度(19年3月期)の業績は好調に推移している。18年度は日本からの生産移管など帝人グループのポリエステル事業の構造改革の成果が完全に発現したことで大幅増収で推移した。

 収益をリードしているのが不織布向けポリエステル短繊維。特に短カットわたフィルター膜支持体用途などを中心に絶好調が続く。TPLとTJTともに生産する原着わたも自動車向けが堅調に推移し、それ以外の新規用途の拡大もあった。ポリエステル長繊維はTPL、TJTともに衣料向けはスポーツ向けが堅調だった。工業用もゴム資材向けを中心に安定している。

 このため堀井哲也TPL社長兼TJT社長は「19年度は構造改革後の成長戦略を具体化させる年」と強調する。供給がタイト化している短カットわたや原着わた、安定した販売が続いている工業用ポリエステル長繊維などについて「次の増産をどのように実現するかを具体的に検討し、19年度内には何らかの結論を出したい」と話す。自社での増設に加えて委託生産の活用も選択肢とする。

 ここに来て欧米アパレルを中心に再生ポリエステルのニーズが高まっていることから、この増産の方法も検討する。世界的に廃プラスチックの輸出入規制が強化されていることから原料の確保が課題となる。このため自社で再生ポリエステルフレークの製造ラインを立ち上げ、3月から試運転に入る。現地で使用済みペットボトルを回収する取り組みもスタート。「まだ商業レベルの規模ではなく、CSR活動の一環」と言うが、こうしたリサイクルシステムの方法をタイ国内に認知させることも目的となる。

 そのほか、フル生産が続いていることで生産現場の負荷も高まった。このため品質管理の強化に取り組む。既に18年度に自動化設備や管理システムの更新などを進め。19年度も自動化を中心とした設備投資を積極的に行う。