ユニチカ 不織布事業部/スパンボンドのグローバル化推進/コットエース増設に意欲

2019年03月07日 (木曜日)

 ユニチカの不織布事業部は2019年度で中期3カ年計画の最終年度を迎え、グローバリゼーションの推進やスパンボンドの高度化、スパンレースの用途開拓に重点的に取り組み、業績を増収増益へと反転させる。

 同事業部は18年度、スパンボンドを展開する工業資材、農業資材、生活資材など全ての用途で増収・増販を達成したが、原燃料高騰によるコストアップで利益は伸び悩んだ。

 ユニチカグループは17年度から19年度までの中計に取り組み、不織布事業は最終19年度を「次期中計で飛躍を期すための仕上げの年」(吉村哲也執行役員不織布事業部長)に位置付ける。

 主力のスパンボンドは、グローバリゼーションを加速する方針を掲げ、タイに構えるタスコとの連携で欧米市場の開拓を改めて強化する。国内生産とタスコを合わせたスパンボンド全体で海外比率を40%まで引き上げ、「早急に50%台に乗せたい」と言う。

 タスコでは17年4月に設立された技術開発部が商品開発に力を入れてきており、このほど自動車向けの商材を具体化した。吸音性能や樹脂並みの剛性、加工性などの持ち味を自動車の内装材、外装材向けに売り込んでいく。日本ではタスコから輸入する原反を販売する。

 18年度は、既存素材にプラスアルファの機能性を付与した原反の販売が「全用途での拡販を支えた」と見て、国内では安全、安心、快適空間に貢献できる商品開発に取り組む。

 今後も強力や通気性の向上、消臭性能や抗ウィルス性能を持たせた商品開発を強化し、スパンボンド全体の高機能化を進める。

 コットンスパンレース「コットエース」では、貼り付けることでコンクリートの高品質化、構造物の高寿命化に貢献するという湿潤養生シート「アクアパック」を開発した。コットエースに非透水性ポリエステルフィルムを貼り合わせた2層構造を持ち、水を染み込ませてコンクリートに貼り付けることでコンクリート構造物の寿命を2・8倍に引き上げられるのが特徴という。

 ユニチカはこの1年で垂井工場の年産5千トン体制をフル操業状態に引き上げている。近い将来、玉不足に陥りかねないため、コットエースの増設を検討。丸三産業との合弁で11年に立ち上げたUMCTへの新設備導入に意欲を示している。