明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(9)/大阪染工/織りも編みも浸染・捺染

2019年03月08日 (金曜日)

 織物の連続染色、編み地と織物の液流染色、そして織物と編み地の捺染のラインを同一敷地内に持つ多機能染色加工場、大阪染工。独自の生産管理システムで生産の進捗(しんちょく)を“見える化”し、リードタイムの短縮による生産効率アップを目指している。

 ユニチカグループの全額出資子会社だが、20年ほど前からグループ以外からの染色加工受託にも注力。現在は、売上高の約半分が、グループ外からの注文による。用途はユニフォームが主体。売上高の7割はワーキングウエアや学校体育衣料向け、20%は官需向けだ。

 2019年3月期は、8%の減収、40%の営業減益を見込む。高付加価値品のウエートが高い官需向けの減収と、コスト上昇が響いている。2年間ほど増収で推移したワーキング向け織物の加工は前年並み。学校体育衣料向け編み地の加工も前年並みだった。

 減収に、染料、薬剤の高騰が重なり、利益を圧迫した。18年4~12月で見ると、染料は前年比25%、カセイソーダに至っては50%値上がりした。物流コストも20~30%上がっている。

 染料の高騰は今年も続くと橋場健次社長(62)は予想する。同社は昨年4月に染色加工料金の値上げを要請したが、再度の値上げ交渉を行うことを検討している。同時に、染色精度の向上などによるさらなるコストダウンにも挑む。

 一部スレン染料については、供給途絶の懸念も出ている。リピート時の色の再現性の高さを強く要求するユニフォーム業界を主要顧客としている同社にとって、大きな問題だ。現在、代替染料で再現性を確保するよう試験を重ねている。

 連続染色、液流染色、捺染の3部門の開発生産管理を一元化し、得意分野での新規顧客の開拓も進めている。同時に、非衣料など新規分野の開拓にも取り組む。見本反、試験反をタイムリーに提供する体制も強化する。

 同社はプラズマ加工機も備えている。これを保有しているのは同社を含め日本に2社しかないとみられる。同機を、ポリエステル高率混生地に、半永久的な再汚染防止性と帯電防止性を付与するために用いている。

社名:大阪染工株式会社

本社:大阪府三島郡島本町山崎2-1-1

代表者:橋場 健次

主要設備:連続染色機3セット、フラットスクリーン捺染機(東伸工業製)2台、ロータリースクリーン捺染機(同)1台、高圧液流染色機(ニッセン、日阪製作所製)13台、高圧気流染色機(ティース製)1台、常圧液流染色機5台、小ロット高圧液流染色機3台、小ロット常圧液流染色機4台

月産能力:織物浸染加工140万メートル、開反丸編み地晒浸染加工50万メートル、丸胴丸編み地晒浸染加工60トン、織物・丸編み地スクリーン捺染30万メートル(フラット15万メートル、ロータリー15万メートル)

従業員:200人