ひと/ユニチカの次期社長に決まった上埜 修司 氏/“3現主義”で粘り強く

2019年03月29日 (金曜日)

 ユニチカの次期社長に決まった。この5年間、ユニチカは厳しい構造改革を実施してきた。注連浩行社長とともに改革の陣頭に立ってきただけに、後継指名を受けてから「日々、重圧を感じている」と打ち明ける。同時に「現在の中期経営計画で目指しているユニチカの姿に間違いはないと確信している」とも。持ち前の粘り強さを生かし、改革をやり遂げる決意を示す。

 大学時代は金属材料工学を専攻し、ユニチカ入社後も主に研究開発畑でキャリアを積んできた。工学博士号も保有する研究者・技術者である。そんな上埜氏にとって転機となったのが経営企画を担当したことだとか。「“カイゼン”活動の導入や工場での省エネ活動など大型のプロジェクトを担当したことで、自分自身にとっても変革的な出来事だったと思う」と話す。

 ユニチカは2019年度に創業130年、ユニチカ発足50周年を迎えるなど繊維業界でも名門中の名門。だが14年には経営危機が表面化し、優先株の発行など金融機関からの支援を受けながら、注連社長の下で生き残りを懸けた大胆な構造改革を実施してきた。上埜氏もまた、その一翼を担ってきただけに、ユニチカの栄光の歴史を終わらせるわけにはいかないという歴代経営者、そして全従業員の思いを真剣に受け止めている。それが、今感じている“重圧”の意味だろう。

 「『現場で、現物を見て、現実を知る』という3現主義がモットー」と言う上埜氏。技術者らしく粘り強い性格にも定評がある。“3現主義”で粘り強く改革と続ける。

 ユニチカにとって節目の年に社長のバトンを受け継ぐことになり、「収益基盤をさらに強化し、さらなる成長につなげることが使命。“お客さまに選んでいただけるユニチカ”を目指す」と決意を新たにする。

(宇)

 うえの・しゅうじ 1983年大阪大院・工学研究科修了、ユニチカ入社。2008年経営企画部部長代理、11年執行役員技術開発本部長兼中央研究所長、12年取締役兼上席執行役員、15年4月取締役兼常務執行役員、同年6月代表取締役兼常務執行役員。19年6月27日付で代表取締役兼社長執行役員に就任予定。大阪府出身。61歳。趣味は読書。週末にはスポーツジムで汗を流す。