ユニチカ/再び成長路線に/サステ推進室 近々発足

2019年04月04日 (木曜日)

 ユニチカは現・中期3カ年計画の最終年度となる2019年度、繊維事業での収益改善、高分子事業での拡大戦略と重点的に取り組み、業績を再度、成長路線に戻す。社内横断的な開発を加速していくための組織を設けるとともに、その傘下に「サステイナブル推進室」を新設し、環境関連の取り組みに本腰を入れる。

 同社は、17年度から19年度までの中期3カ年計画に取り組んでいる。初年度の17年度はほぼ計画通りに推移させたものの、18年度は原燃料高騰の影響などで「下半期に苦戦を強いられた」(注連浩行代表取締役兼社長執行役員)。

 繊維事業では、原燃料高騰に加えて岡崎工場でのトラブルが重なり、上半期の営業損益が赤字に転落したものの、対策を既に終了させ、「通期では黒字に浮上させられる」とみている。

 現中計は元々、反転攻勢を目標に掲げている。これまでに打ってきた諸策の刈り取りを改めて強化し、19年度から利益面でも「再び成長路線へと回帰させる」と言う。

 繊維事業の収益改善を特に重視する。この間の構造改善で集約した強みのある商材による開発・販促に重点化し営業利益率を引き上げたいと考えている。

 産業資材では、旺盛な引き合いを集めるポリエステルバインダー長繊維を増設する。年産300トンを同千トンに引き上げ、今年9月に稼働させる。

 ユニチカとして「サステイナブル(持続可能な)に貢献していくための新組織」を検討している。組織横断的な商品開発を推進していくための横串的な組織を4月中に発足させるとともに、この傘下にバイオマス素材「テラマック」や再生ポリエステル「ユニエコロ」、植物由来の芳香族ナイロン樹脂「ゼコット」などの開発、マーケティングを担当するサステイナブル推進室を設置する。

 主力の高分子事業では、インドネシアのエンブレムアジアの年産能力を1万6500トンから2万6500トンに増やす工事を進めている。来年11月に新系列を稼働させ、アジアでのシェア向上を目指す。

 昨年増設したスパンボンドでは、用途開発の進展に伴い「これからが期待できる」とみている。綿100%のスパンレース「コットエース」は好調を続け、丸三産業との合弁拠点・UMCTでの増設を検討し始めた。

 ユニチカの海外売上高比率は現状で23%前後。国内販売だけでは「大きな成長を望めない」ため、ナイロンフィルムや各種エンプラ、スパンボンドなどで輸出を強化し海外比率を引き上げる。