帝人フロンティア/空気まとう構造体開発/ポスト・ダウンに照準

2019年04月25日 (木曜日)

 帝人フロンティアは、極薄のニット「ファインセル」に空気を充填(じゅうてん)することで保温性を持たせた秋冬向けの暖か素材(ブランド名未定)を開発した。25、26の両日、東京都港区のテピアで開く20春夏向け総合展で打ち出し、顧客との商談を通じ細部を詰めていく。

 同社によると「ポスト・ダウンを求める市場ニーズが強まっている」と言い、これに応えるため、保温、調温、コンパクト、軽量、エコを充足する新素材として今回の構造体を開発した。極薄(厚さ0・11ミリ)のポリエステルニットに無孔質のフィルムをラミネートしたファインセルを導入。素材には織物やナイロンを使うこともできる。

 縫製をしない熱圧着でダウンウエアやダウンベスト状に仕上げた製品の内部に空気を充填。この空気が発揮する優れた保温性や軽さが特徴となる。空気の出し入れを自由に行えるため、空気を増やせば保温性能を引き上げられる。空気を全て抜けばパッカブルアイテムになる。羽毛を一切使っていないため、動物愛護にも貢献する。

 同社は総合展への出展で販促活動を本格化する。現状のままでは、シルエットや仕立て映え、着心地などで幾つかの課題を抱えているため、顧客との話し込みを通じ、これらの課題を解消し早期実用化を目指す。

 テキスタイル売りを中心に製品での販売も検討する。実際の販売を立ち上げて以降、初年度で1億円(製品換算)、3年後に10億円の売り上げを計画する。生地や製品で特許を出願中。