ユニチカ/財務改善の手応え/成長戦略には遅れ発生

2019年05月15日 (水曜日)

 ユニチカの注連浩行社長ら同社首脳は14日の決算会見で、中期計画の2年目に当たる2018年度(19年3月期)は既存事業の強化、成長戦略のスピード感が不十分だったとの認識を示した。財務面へのてこ入れを「ほぼ中計通りに進められた」と語り、19年度末で有利子負債を1千億円未満に削減できるとの見通しを示した。

 ユニチカの18年度決算は原燃料高騰によるコストアップ、宇治事業所での火災事故の影響により収益が低迷。売上高で前期比微増を確保したものの、30・1%の営業減益となった。

 18年度は原燃料高騰による18億円、火災事故による5億円が減益要因になったと言い、19年度も火災事故の影響16億円が残ると見込む。

 19年度は中計の最終年度。「目標実現のための成長戦略と取り組んでいきたい」と話し、タイ・タスコのスパンボンド、エンブレム・アジアのナイロンフィルムなどで増設投資と着実に取り組み、数年先の事業拡大につなげたいと言う。

 タスコをこの1年でフル操業まで持っていくとともに、エンブレム・アジアでは1万トンの増設で50億円の増収効果が発現するとみている。

〈微増収大幅減益に/19年3月期〉

 ユニチカの2019年3月期連結は売上高1290億円(前期比0・6%増)、営業利益81億円(30・1%減)、経常利益70億円(28・9%減)、純利益52億円(35・3%減)の微増収大幅減益となった。

 主力の高分子が5・9%、機能材が1・6%の増収となったが、繊維は1・4%の減収だった。原燃料高騰の影響などで3部門とも営業減益となった。

 繊維では、企業別注を中心にユニフォームで好調を、原料売りや寝装で堅調を維持したものの、スポーツ、レディスが低調で、トータルは減収減益となった。

 ユニチカトレーディングの業績は売上高390億円(4・6%減)、営業利益8億円(26・6%減)、経常利益8億円(25・9%減)、純利益5億円(33・3%減)だった。

 ユニチカの今期業績は売上高1320億円、営業利益65億円、経常利益52億円、純利益27億円の見通し。