合繊メーカーの19年3月期連結/原燃料高騰で減益基調/繊維業績に明暗

2019年05月16日 (木曜日)

 合繊メーカーの2019年3月期連結決算が出そろった。売上高で全5社が増収を達成、2社が過去最高を更新したものの、原燃料価格高騰によるコストアップの影響などで5社中4社の営業利益が前年割れにとどまった。

 当期は東レが売上高で、旭化成が売上高と営業利益で過去最高を更新するなど前半戦の好景気も背景に業績を拡大する一方、東洋紡は火災事故に伴う特損計上で10年ぶりの純損失を計上するなど明暗を分けた。

 第1四半期から第2四半期にかけて原燃料が急騰した影響により各社コストアップに直面。繊維事業が増収だった旭化成が繊維営業利益で過去最高を更新、東レ、帝人が増益を確保する一方、東洋紡、ユニチカは減益となった。

 東レは繊維で拡販やコストダウンにより原料価格の上昇をカバーし増収営業微増益を達成。炭素繊維複合材料では年商が初めて2千億円を突破。海外での新規案件立ち上げに伴う費用増などで営業利益は大幅減だった。

 旭化成は増設効果やセージ社の買収効果で大幅増収を達成。「ベンベルグ」や「ラムース」「ベンリーゼ」が業績拡大に寄与した。

 帝人はアラミド繊維や炭素繊維、衣料用機能素材などの販売を伸ばしマテリアル、繊維・製品でともに増収を確保したものの、原料価格高騰の影響などで減益に。

 東洋紡では産業マテリアルが増収減益、繊維・商事が減収増益。産業マテリアルは原料高騰で利益面が苦戦。繊維・商事は前年の在庫処分の影響がなくなり増益となった。

 ユニチカは減収大幅減益。スポーツ、レディスが苦戦したほか、土木資材も低調だった。スパンボンド、スパンレースが含まれる主力の高分子は増収減益だった。

 19年度の業績予想では、東レと東洋紡が増収営業増益、旭化成が増収減益、帝人が増収横ばい、ユニチカが増収減益のまだら模様を呈している。東レは繊維売上高で1兆円を計画。旭化成は繊維で増収増益を計画する。東洋紡は全社の純利益で過去最高を見込む。

 各社とも、米中貿易摩擦の対中追加関税アイテムに衣類が加わった影響への懸念を強めている。