好評を博した4月の総合展/帝人フロンティア/デジタル施策など見せ場多数

2019年05月20日 (月曜日)

 帝人フロンティアは、4月25、26の両日、20春夏向けの商材を一堂に集めた総合展を東京都港区のテピアで開催した。「エンジョイ ファンダーランド!」(ファンクションとワンダーランドを組み合わせた造語)をテーマとした今回は、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」のデジタル施策を見せたほか、環境活動指針「シンクエコ」のブースも充実させた。

 会場に足を踏み入れるとすぐにソロテックスのデジタルマーケティングの取り組みが目に入ってきた。素材特性や実際の採用事例を紹介するソロテックススペシャルサイトやフェイスブック、インスタグラムなどを披露したが、そこには「会員制交流サイト(SNS)での発信を重視する顧客が増加傾向にある。デジタル施策を実感してほしい」との思いが込められていた。

 シンクエコカテゴリーも目立っていた。ペットボトルのリサイクル繊維「エコペット」シリーズのファブリケーションを拡充したほか、新素材ではエコペットとソロテックスを組み合わせた生地や異型断面糸などが登場した。ソロテックスとオーガニックコットンの組み合わせなど、多様な打ち出しに来場者の関心が集まった。

 新素材も並べた。高機能ニットラミネート素材「ファインセル」に空気を充填(じゅうてん)することで保温性を持たせた暖か素材がその一つ。縫製をしない熱圧着でダウンウエアやダウンベストに仕上げた製品の内部に空気を入れて、この空気による保温性や軽さを特徴とする。空気の出し入れが自在であるため、パッカブルアイテムにもなる。

 生地や製品で特許を出願中。総合展での展示を起点に販促活動を本格化する方針で、テキスタイル販売を中心に製品での展開も視野に入れると言う。実際の販売を開始してからの初年度で1億円(製品換算)、3年後に10億円の売り上げを計画している。

 新フィブリル調ポリエステル織・編み物「フィブリット」も提案した。易フィブリルポリマーをベースに多様な技術を組み合わせて、シルクの中でも最も柔らかいとされる天蚕(てんさん)のようなタッチと外観を付与しており、婦人ファッション用途を軸に提案を進める。

 従来のフィブリル生地の弱点だった洗濯耐久性や防シワ性を克服するイージーケア性を兼ね備え、洗濯50回後もドレープ性とフィブリルを維持する(同社調べ)。織物は薄地から中肉地まで幅広いバリエーションをそろえ、薄いタイプの目付(1平方メートル当たり)は90㌘。36¥文字(G3-1007)の丸編み地なども提案する。販売計画は2019年度が1万メートル、20年度が10万メートル、21年度が15万メートル。

 そのほか、総合的なウエアラブルソリューション「マトウス」なども注目された。モーションとバイタルの二つのセンシング製品を提案し、積極提案を図った。スポーツアウトドア向けテキスタイル「デルタ」やソロテックスなどの機能素材を使ったウエアの開発も加速する。

 資材関連では、帝健(大阪市北区)がアラミド繊維を使った製品などを見せ、テクセット(東京都港区)が猛暑対策に焦点を当てたアイテムをそろえた。ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」を使用したファスナー「ファスナーノ」、防災関連製品をパッケージングした「まるごと防災」などを展示した。