商社繊維事業の現在地 2018年度決算から(4)/グループシナジー発揮

2019年06月06日 (木曜日)

〈東レインターナショナル/アパレル部門躍進〉

 東レインターナショナルの2019年3月期単体業績は、売上高6628億円(前期比12・8%増)、営業利益140億円(14・1%増)、経常利益166億円(21・6%減)、純利益119億円(29・5%減)となり、増収営業増益を確保した。アパレル部門の大幅増収がけん引した。

 繊維関連は、衣料素材、繊維資材・物資、アパレルの各部門で増収。27・0%増の1953億円となったアパレル部門は大手SPA向けが好調に推移した。衣料素材部門は衣料用ファイバーが順調で5・8%増の711億円。繊維資材・物資部門は1・2%増の521億円だった。

 東レグループは今期が中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」の最終年度であり、同社も世界20カ国以上で事業展開している強みを生かした戦略を推し進める。中国は市場として伸び代があるとし、東麗国際貿易〈中国〉による内需への対応を強化する。

〈帝人/戦略素材の製品好調〉

 帝人フロンティアを中核とした帝人の繊維・製品事業の19年3月期連結は、売上高が3183億円となり、前期と比べて8・5%拡大した。衣料機能性素材などの販売が好調に推移した。一方で、原材料価格上昇などが利益を押し下げた。

 衣料繊維分野は、スポーツ・アウトドア向けの生地販売が好調で、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」などの戦略素材を活用した製品ビジネスも伸長。産業資材分野は、構造改革によってタイへ移管したポリエステル原糸・原綿の生産が本格化するとともに、短繊維原綿の販売が好調に推移した。

 今期は、衣料分野では強みであるスポーツを中心に攻勢をかけるほか、グループの一員となった帝人フロンティアDGとの連携を深める。産業資材分野は足元をしっかりと固め、昨年に買収した、独・ジーグラー社とのシナジー発揮も狙う。

〈旭化成アドバンス/増収大幅増益に〉

 旭化成アドバンスは、19年3月期単体決算で売上高1260億円(前期比6・4%増)、営業利益18億円(24・1%増)の増収大幅増益を達成した。

 繊維、樹脂化学品、建材の3事業本部とも好調で、いずれも増収増益となった。繊維は売上高594億円(7・8%増)、営業利益11億円(20・6%増)だった。

 繊維では、スポーツ、ユニフォーム、アウターを伸ばしたものの、原糸、原料、資材は微減益に。タイ、中国・上海に展開する子会社の業績は売上高62億円、営業利益3億円で、タイが減益、中国が増益となった。

 新しい中期3カ年計画を4月にスタートさせており、サステイナブル(持続可能な)、メディカル・ヘルスケア、海外衣料など七つの領域を重視する。さらに、サステイナブル素材を冠ブランドに統合して売り込んでいくブランド戦略に意欲を示している。