帝人フロンティア テキスタイル第一部/五輪後のポイントは環境/リサイクルや非金属が焦点

2019年06月10日 (月曜日)

 帝人フロンティアは、20秋冬のスポーツ素材展開で、環境に配慮した開発・提案をこれまで以上に強める。「ポスト東京オリンピックのキーワードとして、環境への注目度がより高まる」と捉えているため。リサイクル糸を使った綿調ポリエステルニットを投入するほか、メタルフリーやフッ素フリーなどに焦点を当てた素材も打ち出す。

 「東京オリンピック開催」という追い風がやむ20秋冬のスポーツ市場について同社繊維素材本部テキスタイル第一部は、「次のけん引役を探すことが不可欠だが、環境対応がマストになる可能性がある」と予想。リサイクルポリエステルを使った商品作りやマイクロプラスチック問題に応じる素材提案を加速する。

 リサイクルポリエステルを使った生地では、綿の質感や外観を再現したニット「アスティ」を開発。フルダルの長繊維を用いているため、UVカット性や吸汗速乾性、べたつき抑制といった機能を備えるほか、ポリエステル短繊維使いの生地と比べて、繊維が抜け落ちにくいのも特徴。

 非金属(メタルフリー)では、抗菌防臭の「エコピュアー」を展開する。衣服に付いた汗(アルカリ性)を弱酸性にコントロールすることで、臭いや肌荒れを引き起こす原因といわれる菌の増殖を抑える。改質ポリエステルのため、効果が持続する。アスティと組み合わせることもできる。

 そのほか、高バランス素材「デルタ」シリーズなどでフッ素フリー化を推進し、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」で脱ポリウレタンを訴える。マイクロプラスチック問題への対応では異形断面の「オクタ」や中空糸の「エアロカプセル」を使った非起毛の暖か生地を提案する。

 同部のスポーツ素材販売のうち海外顧客向けについては、エコ関連がかなりのウエートを占めるようになっていると言う。今後は海外だけでなく、国内でも環境対応への注目度がさらに高まるとし、「環境対応素材の開発・提案をこれまで以上に増やす」考えを示した。