合繊メーカーの20秋冬スポーツ素材/エコ素材花盛り/目立つ再生ポリエステル提案

2019年06月25日 (火曜日)

 20秋冬に向けた合繊メーカーのスポーツ素材の販売計画が出そろった。国内市場でもサステイナビリティー(持続可能性)への関心が高まっていることを背景に、各社各様のスタンスでエコ素材の商品ラインを充実させようとする取り組みがここに来て加速している。

(堤 貴一)

 旭化成アドバンスは、エコ素材トータルを新ブランドとして展開するブランド戦略を近く立ち上げる方針で、11月に開催予定の21春夏向けの素材展でお披露目する。20秋冬を前哨戦に位置付け、ケミカルリサイクルによるナイロン「レオナFT」や再生原料で生産するスパンデックス「ロイカEF」などを売り込んでいく。

 これまで旭化成スパンデックスヨーロッパからの輸入で対応してきたロイカEFの生産技術を確立。国内生産を近々、立ち上げる。

 ユニチカトレーディングは、環境配慮型の再生ポリエステルを「エコフレンドリー」ブランドに統合し打ち出した。婦人、スポーツ、ユニフォームそれぞれが大型素材への育成を目指した販促に取り組み、スポーツでは耐久撥水(はっすい)「タクティーム」、吸汗速乾「ルミエース」、クーリング「こかげマックス」などをラインアップする。

 東レは、20秋冬スポーツ素材展で出展素材のほぼ半数にエコ素材との複合企画を導入。独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使した新素材「ナノスリットナイロン」を開発した。

 特殊な原糸構造を持たせて環境低負荷と優れた撥水性能を両立させた。非フッ素系の撥水剤で優れた撥水性能、耐久性を発揮できるようにした。透湿防水「エントラント」、軽量・コンパクト「エアータスティック」などのベースクロスに導入し20秋冬から投入する。

 セーレンは、有機溶剤を使わないウレタンコーティング「シンシェルVF」を新たに開発した。ウインドブレーカー向けのグレードから販売する。スキーウエアなどに向けた高グレード品の開発を急いでいる。

 帝人フロンティアは、再生ポリエステルやバイオ原料使いのポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」、フッ素フリーの後加工をラインアップしている。同シーズン向けのイチ押し素材として打ち出している綿のような質感が特徴の「アスティ」でもエコ企画を用意する。

 マイクロプラスチック問題が浮上するに伴い起毛部の脱落が指摘されているフリースの代替品として、特殊な4層構造を持たせたポリエステルニットによるスエット素材「デルタフリーモ」が欧米のアパレルから注目されている。

 ユニチカトレーディングもマイクロプラスチック問題に着目する。起毛していないのに起毛品並みの保温性を持たせた「エアーホールド―NB」を開発した。

 東洋紡STCは、再生ポリエステル「エコールクラブ」による商品開発・企画提案に取り組み、ダウンウエア向けの高密度織物に使えるような極細糸を早急にラインアップしたいと言う。