帝人 マテリアル事業グループ/パラ系アラミドの増設に意欲/次期中期計画で決定も

2019年06月26日 (水曜日)

 帝人は、パラ系アラミド繊維「トワロン」の生産設備増強を視野に入れる。現在、生産工程の改善による能力増強を段階的に進めているが、中長期的に需要拡大が見込めることから大規模な増設が必要とみる。小山俊也帝人グループ常務執行役員は「2020年度からの次期中期経営計画の間に決定したい」とし、「投資規模は3桁億円」になる見通しを示した。

 同社は19年度が最終の中期経営計画を進行中だが、アラミド繊維や炭素繊維などを展開するマテリアル事業グループは順調な推移を見せる。そのけん引役を務めているのがトワロンで、タイヤ補強材やインフラ関連用途が伸びを示す。同じパラ系アラミド繊維の「テクノーラ」も海底油田関連などで評価を得る。

 パラ系アラミド繊維の需要は旺盛な状態が続き、ボトルネックの解消による生産増で対応している。しかしながら、今後も高速走行時の変形が抑えられる“ウルトラハイパフォーマンスタイヤ”の補強材などの需要がさらに伸びるとみて、設備増設による能力増強を検討する。

 原料・重合設備と紡糸設備の両面を強化する。一極集中と垂直統合が強みの一つとし、原料・重合設備と紡糸設備ともオランダで増やす。小山帝人グループ常務執行役員は増設後の能力について明言は避けたが、「かなり大きくなる。当社の勝ちパターンであるコストリーダーシップ戦略とソリューション営業をさらに進める」と強調する。

 テクノーラは、第5世代移動通信システム(5G)の規格化によってスマートフォンの背面パネルへの需要が伸びると予想している。メタ系アラミド繊維は防護衣料分野などの拡大に期待する。タイの工場はフル操業に近い状況になっているが、新増設による生産能力強化は当面は行わない。

 炭素繊維については、日本からの出荷が伸びているが、中でも東南アジアでのレクリエーション用途に動きが見えると言う。「適地でのプリプレグ生産を考える必要が出てきた。こちらも次期中計の課題になる」と語る。