ユニチカ 不織布事業部/スパンボンド海外比率40%台に/「アクアパック」拡販

2019年07月03日 (水曜日)

 ユニチカの不織布事業部は2019年度(20年3月期)、主力のスパンボンドでタイの拠点との連携を通じ海外販売を伸ばすとともに、スパンレースで開発した湿潤養生シート「アクアパック」の拡販に力を入れる。タイでは19年度末の黒字浮上を計画するほか、20年度中のフル操業を目指す。

 ユニチカ不織布事業部は18年度、スパンボンドを展開する全ての用途・分野で増販・増収を達成したものの、原燃料高騰の影響などで利益の伸び悩みを強いられた。

 19年度で中期3カ年計画の最終年度を迎えており、スパンボンドの海外展開を強化するとともに、スパンレースで開発した土木資材アクアパックの拡販を目指す。

 スパンボンドでは、17年夏に年産4千トンから同1万トンに増設したタイ・タスコでの取り組みを重視し、日本との共同ワークで欧米市場の開拓に改めて力を入れる。

 タスコでは17年4月に技術開発部を設立。商品開発を進めてきた結果、先に自動車向けの新しい商材を具体化している。吸音性能や樹脂並みの剛性、優れた加工性などが特徴と言い、自動車の内装材、外装材向けで拡販に取り組んでいる。

 現在、稼働率を70%前後まで引き上げてきており、20年度中にフル稼働させる計画。利益については、「19年度末で黒字に浮上する」と見込む。

 国内生産とタスコとを合わせたスパンボンド全体の海外比率は18年度末で30%台後半。19年度で40%台に乗せるとともに、「早急に50%超を目指したい」と話す。

 コットンスパンレース「コットエース」では、コンクリートの高品質化、構造物の高寿命化に貢献するという湿潤養生シート、アクアパックの拡販を計画。ゼネコンなどへの売り込みを強化し市場浸透を目指す。

 コットエースでは、制汗シート・汗拭きシートやワイパー、衛材、フェースマスク向けの販売がいずれも順調で、特に制汗シート向けの販売がピークを迎える夏場に「需要に供給が追い付かなくなる」と言う。このため、丸三産業との合弁で11年に設立したUMCTに新しい設備を導入することを検討し始めた。