大手紡績の2019年4~6月期決算/繊維事業の低迷 深刻/大幅減益、営業損失が相次ぐ

2019年08月09日 (金曜日)

 大手紡績の4~6月期決算が出そろった。全社ベースではダイワボウホールディングス(HD)と富士紡HD以外は軒並み営業減益となるなど世界経済の成長鈍化や米中貿易摩擦の影響などを色濃く受ける。特に繊維事業は4社が営業損失となるなど低迷が深刻化した。

 繊維事業の大幅減益や営業損失が相次ぐ中、比較的落ち込み幅が少なかったのがダイワボウHD。合繊・レーヨン部門が振るわなかったものの産業資材部門は重布関連やフィルターの販売が増加した。衣料製品部門も海外拠点の活用で堅調に推移し、ブランド製品も子供服を中心に販売が拡大した。

 富士紡HDの繊維事業は営業利益こそ確保したものの大幅減益。主力のインナー製品は大手量販店の売り場縮小に加えてプライベートブランドとの競争が激化したことで販売が減少した。繊維素材は低採算品から撤退を進めて利益率の改善に取り組んだ。

 クラボウは繊維事業の営業損失が拡大するなど苦戦。原糸が増収となり、ユニフォーム地も前年並みを確保したもののカジュアル分野の低迷や海外子会社の減収が響いた。

 シキボウの繊維事業も営業損失が拡大。原糸が国内市場の低迷で苦戦し、中東民族衣装用織物は市況低迷が続いている。ユニフォーム地は販売堅調も原燃料や物流費の増加で利益が圧迫された。

 オーミケンシは原燃料価格上昇で販売価格への転嫁を進めたが減収減益となり繊維事業は営業損失となった。日東紡の繊維事業は中国子会社売却による国内への生産移管で芯地の利益改善があったものの婦人服向けの不振や原糸販売の低迷で営業損失が続いている。