特集 東海産地(5)/東海を支える商社

2019年08月09日 (金曜日)

〈豊島 浜松支店/遠州織物を国内外に訴求〉

 豊島浜松支店は、昨年7月に新たに設けた名古屋本社十部傘下の浜松支店二課となった。浜松支店の開設は1918年(大正七年)。豊島にとって、現在の名古屋本社よりも古く最初の支店であり、成長の礎を築いた拠点でもある。それだけに同産地の活性化を使命として本社と連動した支店の機能強化を図っている。

 具体的に国内販売では、同支店の資産でもある備蓄販売用の「HTシリーズ」の拡充と、今期(6月期)本社から移管され、浜松支店が運営することとなったインターネットモール「テキスタイルネット」事業の拡大。さらに十部一課が積極的に手掛けているテキスタイル輸出業務において遠州織物の拡大を進めている。

 遠州産地はかつての規模と比べると縮小を余儀なくされたものの、依然として精練から漂白、浸染、捺染を行う著名な加工所を抱え、細番手・高密度などの綿織物を扱う個性派織布企業も多い。同産地が長年培ったモノ作りのノウハウを生かし、「トライする1年」(同支店)としているだけに産地からの期待も大きい。

〈信友浜松支店/多様な糸種を訴求〉

 信友は、昨年10月1日付で東京営業部原糸課を浜松営業部原糸課に統合した。これにより、浜松支店の営業エリアは従来の遠州・北陸だけでなく、新潟、桐生の各産地まで網羅する。とはいえ大正時代に開設した浜松支店のベースはあくまで遠州産地。同支店の売上高に占める遠州地域の比率は、今でも30%を維持している。

 浜松支店の特徴は、合繊を含めた純粋なスパン糸だけでなく、付帯加工を加えた複合糸や異種交撚糸までを訴求するのが強み。用途も織物用から編み物、ウエートは小さいものの産業資材用まで扱う。これまで浜松支店が培ってきた顧客に必要な時に必要な量、必要な糸をきめ細かくフォローする体制が多様な糸種の展開となっている。

 同支店が東京営業部原糸課を吸収したものの、今後はこれまで通り東京営業部に担当者を常駐させ、リスクを張った備蓄の管理や情報を共有し、効率的な運営と共に「顧客に満足や感動を与えられるようしたい」(同支店)と話す。